フリーランスのスマホ代は経費になる?按分と勘定科目を解説

経費・節税

最終更新日:2026年6月4日

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この記事を書いた人: 元青色申告会職員(17年勤務)・FP(ファイナンシャルプランナー)・日商簿記2級保有。年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場でサポートしてきた経験をもとに執筆しています。

「プライベートと仕事を兼用しているスマホ、全額経費にしてもいいよね?」

17年間、青色申告会の窓口で年間500人以上の個人事業主・フリーランスの申告をサポートしてきました。毎年必ず出てくる質問の一つです。

結論から言うと、全額は原則NGです。ただし「仕事に使っている割合」は正々堂々と経費にできます。今回はスマホ代の経費処理でよく起きるミスと、税務署に説明できる按分の決め方を実務ベースで解説します。

スマホ 経費 フリーランスで一番多いトラブル:全額計上で否認された事例

実際に私が見た事例です。

副業から独立して2年目の方が、毎月のスマホ代1万円を全額「通信費」で計上していました。売上に対して通信費の割合が不自然に高く、税務署から説明を求められました。「仕事でもプライベートでも使っているので按分が必要です」と指摘され、業務使用割合を50%と認定。翌年以降は5,000円しか計上できなくなりました。2年分の差額が追徴課税の対象になったケースです。

別のケースでは、「仕事用の連絡はほぼスマホでやっている」という理由で80%按分を申告していた方が調査で否認されました。担当調査官から「その80%の根拠を示してください」と言われ、通話履歴の業務件数を数えてみたら実態は40%台だったという話でした。

根拠のない按分割合は、調査が入ったときに一発でひっくり返されます。

フリーランスがスマホを経費にできる条件

税務上、個人の支出を経費にするには「業務との関連性」と「金額の合理性」が必要です。スマホについては次の3点が判断のポイントになります。

条件1:実際に仕事で使っていること

クライアントとの連絡、取材・打ち合わせの移動中の確認、SNS運用、業務アプリの利用など、スマホを仕事に使っている実態があることが前提です。「一応スマホも使えるから」という理由だけでは認められません。

条件2:私的利用との区分ができていること

1台のスマホをプライベートと兼用している場合、全額は経費になりません。「業務に使っている割合(按分割合)」を合理的な方法で決め、その割合だけを経費にします。

条件3:按分の根拠を説明できること

「なんとなく70%」では通りません。通話時間・通話件数・利用時間帯など、客観的な数字で説明できる根拠が必要です。

按分割合の決め方|業務利用時間で計算するのが最も堅い

按分割合の決め方に法律上の決まりはありません。ただし「合理的な方法」であることが求められます。私が現場で指導してきた中で、説明しやすかった方法を3つ紹介します。

方法①:1日の利用時間で計算する(最もシンプル)

1日の業務時間と私用時間の比率で按分します。

例:1日8時間のうち仕事で使うのが4時間 → 按分割合50%

フリーランスで週5日・1日6時間稼働しているなら、実態に合わせた割合を計算できます。

方法②:通話履歴・通知件数で計算する(証拠に強い)

1ヶ月の通話履歴を確認し、「業務関連の通話件数 ÷ 全通話件数」で割合を出す方法です。調査があったときに通話履歴を見せながら説明できるため、非常に強い根拠になります。

連絡手段がLINEやメールでも同様に件数で計算できます。

方法③:固定割合で設定する(継続性が重要)

「業務50%・私用50%」のように固定割合を決めて毎月継続する方法です。シンプルですが、毎年割合を変えると「都合よく変えているのでは」と疑われやすくなります。一度決めたら根拠が変わらない限り継続するのが原則です。

現場での感覚値

私が青色申告会で指導してきた限りでは、30〜60%の範囲が最も争いになりにくいラインです。「仕事でしかスマホを使わない」という説明が難しい以上、70〜80%以上の按分は根拠の説明をしっかり準備する必要があります。

なお、按分割合は年度末に1年分をまとめて決めるのではなく、当初から設定しておき毎月同じ割合で仕訳するほうが記録として整合性が取れます。

仕事専用スマホがある場合は全額経費にできる

業務専用のスマホを別に契約している場合は話が変わります。プライベートでは一切使わないと説明できるなら全額が通信費として計上できます。

実務上のポイントは以下の通りです。

  • プライベート用と仕事用で物理的に端末を分けている
  • 請求書・明細書が別々になっている
  • 仕事用端末にはSNS個人アカウント・ゲームアプリなどが入っていない

「仕事用スマホ」と言いながら実態がプライベート端末と変わらない場合は、調査で問題になることがあります。端末の利用実態が重要です。

また、端末本体を購入した場合、10万円未満なら消耗品費として全額一括経費にできます。10万円以上になると減価償却が必要です(スマホは「器具備品」として耐用年数4年で計算)。

勘定科目と仕訳例|スマホ代は「通信費」で処理する

スマホの月額料金は通信費で計上します。インターネット回線や固定電話と同じ科目です。

仕訳例①:月額1万円・業務50%按分の場合

借方 金額 貸方 金額
通信費 5,000円 普通預金(または現金) 10,000円
事業主貸 5,000円

私用分は「事業主貸」という科目を使って分けます。これが家事按分の基本仕訳です。

仕訳例②:仕事専用スマホで月額6,000円の場合

借方 金額 貸方 金額
通信費 6,000円 普通預金 6,000円

専用端末なので全額を通信費として計上します。

なお、毎月の請求書を保存しておくことが大切です。税務調査では通信会社からの明細書を提示を求められることがあります。

格安SIM・法人契約のスマホはどう扱う?

格安SIM(MVNO)の場合

格安SIMでも処理の方法は変わりません。月額が低い分、経費として計上できる金額も下がりますが、按分の考え方は大手キャリアと同じです。

フリーランスで格安SIMに切り替えている方が多いですが、料金が安いからといって全額経費の処理を適用するのは誤りです。プライベートで使っている割合は按分が必要です。

法人契約のスマホを個人事業主が使う場合

個人事業主(法人ではなく個人)の場合、「法人契約」という概念はなく、通常の個人名義での契約になります。契約名義に関係なく、事業に使っている割合で按分して経費計上します。

家族割・シェアプランで家族分もまとめて支払っている場合

家族のスマホ代を事業主が一括で支払っている場合は、自分のスマホ分だけを按分の計算対象にします。家族分の料金は事業との関連がないため、全額「事業主貸」で処理します。

会計ソフトでのスマホ代の設定方法

会計ソフトを使っている場合、按分の設定方法を知っておくとミスが減ります。

フリーランスが経費にできるもの一覧にも書きましたが、スマホ代は経費化できる項目の一つとして必ず確認しておきたい支出です。

freee会計の場合

取引を入力する際に「家事按分」のチェック項目があり、業務使用割合を%で入力すると自動で按分計算してくれます。毎月の明細を自動取得するよう銀行・カードと連携しておくと、手入力の手間が省けます。

マネーフォワードクラウドの場合

口座・カード連携で取引を自動取込し、仕訳ルールに「按分率」を設定しておくことができます。毎月同じ割合で自動仕訳されるため、設定後は確認するだけで済みます。

やよいの青色申告オンラインの場合

「かんたん取引入力」から家事按分の割合を設定して登録できます。スマートフォンアプリからも入力可能です。

どのソフトも、最初に按分割合を正しく設定しておけば、あとは自動で処理されます。最初の設定を怠ると毎月手で修正する手間が発生するので、使い始めの段階で設定を済ませておきましょう。

また、青色申告と白色申告の違いを把握した上で、青色申告に切り替えている方は65万円控除(電子申告)の恩恵を最大限に受けるためにも、会計ソフトでの正確な記帳が重要です。

まとめ:スマホ代を正しく経費にする3ステップ

スマホ代の経費処理はシンプルです。次の3ステップを守れば、税務署に説明できる按分ができます。

  1. 按分割合を根拠をもって決める(通話時間・通話件数・業務時間など客観的な数字で)
  2. 毎月同じ割合で仕訳する(「通信費」と「事業主貸」に分けて計上)
  3. 請求書・明細書を保存する(7年間の保存義務あり)

「なんとなく70%にした」という按分は、調査で最初に突かれるポイントです。割合に迷ったら30〜50%の範囲で、説明できる根拠を持っておくのが現実的です。

会計ソフトを使えば、按分の計算・仕訳・集計まで自動化できます。確定申告の時期に焦って集計するより、毎月コツコツ記帳するほうが圧倒的に楽です。

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