個人事業主がつまずく帳簿付け|カード・借入金・発生主義

青色申告・帳簿

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この記事を書いた人: 確定申告サポート歴17年。年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場で直接サポートしてきました。記帳指導・会計ソフト指導・労働保険・損害保険・生命保険業務を担当。

開業したての個人事業主から「帳簿が全然わからない」という相談を受けるとき、詰まっている場所はだいたい同じでした。クレジットカード、借入金、そして「入金された日に売上を記録していいのか」という発生主義の問題。

これら3つを整理するだけで、日常の記帳がほぼ回るようになります。会計ソフトを使っていても「なぜこう入力するのか」がわかれば、操作ミスが大幅に減ります。

クレジットカードや借入金以前に、個人事業主特有の事業主借・事業主貸・元入金という概念でつまずく方も少なくありません。個人事業主の帳簿入門|事業主借・事業主貸・元入金をわかりやすく解説で基本から整理していますので、あわせてご覧ください。

①クレジットカード決済の帳簿処理

「カードで払ったとき、いつ費用を記録するのか」——これが最初の壁です。

使った日に費用を計上する(発生主義)

個人事業主の帳簿(青色申告)では発生主義が原則です。カードを使った日(購入日)に費用を計上し、引き落とし日(1〜2か月後)には「未払金(または買掛金)が減る」という記録をします。

日付 取引内容 借方(左) 貸方(右)
6月10日 カードで文具2,000円購入 消耗品費 2,000 未払金 2,000
7月27日 口座から引き落とし 未払金 2,000 普通預金 2,000

費用は購入した6月に計上。7月の引き落としは「未払金(借金)を普通預金で返した」という記録です。

freeeやマネーフォワードでカード連携しておくと、この2行の仕訳を自動的に提案してくれます。ただし、連携する前提で「カードで払った=6月の費用」という考え方は必ず頭に入れておいてください。

未払金と買掛金の違い

カード払いの科目は「未払金」か「買掛金」か——どちらを使うかよく質問されます。

  • 買掛金:仕入れ・在庫にかかわる取引(棚卸商品の仕入れ等)
  • 未払金:それ以外の費用(消耗品・通信費・ソフトウエア等)

フリーランス・サービス業であれば、日常のカード払いはほぼ「未払金」で問題ありません。

②借入金の帳簿処理

事業資金で借入をした場合、最初に迷うのが「毎月の返済をどう記録するか」です。

返済は「元本」と「利息」を分けて記録する

毎月の返済額には、元本(借りたお金の返済)と利息(借りるためのコスト)の2種類が含まれています。

  • 元本の返済:「借入金(負債)が減る」→ 経費にならない
  • 利息の支払い:「支払利息(費用)」→ 経費になる
日付 取引内容 借方(左) 貸方(右)
7月31日 返済額30,000円(元本29,000円+利息1,000円) 借入金 29,000
支払利息 1,000
普通預金 30,000

元本と利息の内訳は、金融機関から送られてくる返済予定表(償還表)に月ごとに記載されています。手元にない場合は金融機関に問い合わせて入手してください。

⚠️ よくある誤り:返済額の全額を「借入金」で処理してしまう
「返済した=借入金を減らした」と考えて、毎月の返済全額を「借入金」に入れてしまうと利息分が費用として反映されません。支払利息の見落としは意外と多く、年間を通すと数万円単位で経費計上が漏れることがあります。

③発生主義:入金前でも売上を計上する

青色申告の帳簿は「入金日」ではなく「売上が確定した日(納品・役務提供の完了日)」に売上を計上するのが原則です。

フリーランスの売上計上の流れ

日付 取引内容 借方 貸方
6月30日 Webデザイン納品(請求書発行)100,000円 売掛金 100,000 売上高 100,000
7月25日 入金確認 普通預金 100,000 売掛金 100,000

6月に売上を立て、7月に売掛金が「回収できた」として消込みます。7月に入金があったからといって7月の売上にしてはいけません。12月納品→翌年1月入金の場合は今年の売上です。

「年が変わったのに今年の売上になるの?」——よく驚かれますが、確定申告の売上はあくまで「12月31日までに確定したもの」です。発生主義を知っておかないと、12月末の請求漏れが申告ミスに直結します。

会計ソフトではどう処理するか

freee・マネーフォワード・やよいでは、カード明細・口座明細を自動連携して仕訳候補を提示してくれます。ただし、売掛金の入力は自動化されないことが多く、「納品日に売掛金」→「入金日に消込み」の2ステップは手動で入力する必要があります。

発生主義に対応した売掛金管理ができるかどうかが、確定申告前に「売上が合わない」という問題を防げるかどうかの分かれ目です。

会計ソフトの操作を覚える前に簿記の基本的な考え方を押さえておくと、判断に迷う場面がぐっと減ります。会計ソフトの前に簿記を学ぶべき3つの理由でその理由を解説していますので、参考にしてください。

まとめ

  • クレジットカード:使った日に費用計上、引き落とし日は未払金の消込み
  • 借入金の返済:元本(借入金)と利息(支払利息)を分けて記録。元本は経費にならない
  • 売上は入金日ではなく納品・役務完了日に計上(売掛金で管理)
  • これら3点を正しく処理するだけで、年間の帳簿ズレが大幅に減る

「間違えても会計ソフトが教えてくれる」は誤解です。ソフトは入力を受け付けますが、間違いは気づきません。3つの基本を押さえて記帳すれば、申告前の修正地獄から解放されます。

どれも無料期間があります。実際に操作してみてから、自分に合う1本を選んでください。

税理士に頼むと年間30〜50万円かかります。会計ソフトなら月1,000円前後で確定申告まで完結します。


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