在宅勤務の家賃・光熱費を経費にする【家事按分の実例付き】

経費・節税

最終更新日:2026年6月4日

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この記事を書いた人: 元青色申告会職員(17年勤務)・FP(ファイナンシャルプランナー)・日商簿記2級保有。年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場でサポートしてきた経験をもとに執筆しています。

「家賃10万円を毎月払っているのに、在宅で仕事してるのに、1円も経費にできないの?」

青色申告会の相談窓口で、こういうモヤモヤを抱えたフリーランスに何度も会いました。特に自宅をそのまま仕事場にしている方ほど、損してるなと感じながらも申告の仕方がわからず、結局ゼロで申告している。

結論から言うと、在宅勤務の家賃・光熱費は「家事按分」という方法で一部を経費にできます。計算ルールさえ覚えれば、年間で数万円〜数十万円の節税になることも珍しくありません。

この記事では、面積比・時間比を使った具体的な計算例と、税務調査で否認されないための実務的なポイントを元青色申告会職員が解説します。


在宅勤務で経費にできる費用【家事按分の対象一覧】

まず、家事按分の対象になる費用を整理します。「全額経費」にはなりませんが、事業に使っている割合だけ経費として計上できます。

費用の種類 按分の基準 勘定科目
家賃・地代 床面積(事業用スペース÷総面積) 地代家賃
電気代・ガス代・水道代 面積比 または 使用時間比 水道光熱費
インターネット回線費 業務使用時間比(50〜100%が多い) 通信費
スマホ代(事業利用分) 業務使用時間比(30〜50%が目安) 通信費
固定資産税(持ち家の場合) 床面積比 租税公課

根拠は所得税基本通達45-2。「業務の遂行上直接必要であることが明らかに区分できる部分」は必要経費に算入できる、とされています(国税庁|家事関連費(第1号関係))。

「明らかに区分できる」というのが大事なポイントで、合理的な基準で計算して記録を残しておくことが前提です。


家賃の按分計算(面積比)|在宅勤務の経費化の王道

家賃の経費化で最もオーソドックスで、税務署にも説明しやすいのが「床面積比」による按分です。

計算式

経費にできる家賃 = 月額家賃 × (仕事に使うスペースの面積 ÷ 部屋全体の面積)

計算例:1LDKで仕事する場合

条件 数値
月額家賃 10万円
部屋の総面積 50㎡
仕事スペース(書斎コーナー等) 10㎡
按分割合 10 ÷ 50 = 20%
経費にできる家賃 10万円 × 20% = 2万円/月(年24万円)

年24万円の経費増というのは、所得税率20%なら約4.8万円、住民税10%を合わせると約7.2万円の節税効果です。申告するかしないかで、これだけ差がつきます。

仕事スペースの測り方

実際に仕事に使っているデスク周りの面積を測ります。部屋全体を仕事に使っている場合は部屋まるごとの面積を使って構いません。「リビングの一角にデスクを置いている」場合は、デスク周りの実測値(例:2m×2m=4㎡)を根拠にします。

窓口相談で「面積を測ったメモを保管しておいてください」とよく伝えていました。平面図や間取り図のコピーに書き込んでおくと、後で税務調査があったときにすぐ出せます。


光熱費の按分計算(時間比)|電気代・ガス代の経費化

光熱費は、面積比だけでなく「使用時間比」も使えます。特に電気代は、仕事中に電気をつけている時間と個人で使う時間を分けることで、より実態に近い按分ができます。

計算式

経費にできる光熱費 = 月額光熱費 × (1日の業務時間 ÷ 24時間) × (仕事スペース面積 ÷ 総面積)

計算例

条件 数値
月の電気代 8,000円
1日の業務時間 8時間
時間按分率 8 ÷ 24 ≒ 33%
面積按分率(先の例と同じ) 20%
経費にできる電気代 8,000円 × 33% × 20% ≒ 528円/月(年約6,300円)

電気代単体だと少額に見えますが、ガス・水道もまとめると年1〜2万円規模になることもあります。

なお、光熱費は面積比だけで按分しても問題ありません。時間比×面積比にすると計算が複雑になるので、「面積比だけで計算する」と割り切っているフリーランスも多いです。どちらが正解というルールはなく、合理的に説明できる方法ならOKです。


通信費(インターネット・スマホ)の按分

在宅ワーカーにとって、インターネット回線は仕事道具そのものです。

インターネット回線費

在宅で仕事している場合、インターネット回線は業務で使う比重が高いため、按分割合を50〜80%にしている方が多いです。ただし、家族で使っている、動画配信をよく利用するなど私的利用が多い場合は50%以下に抑える方が安全です。

スマホ代

スマホは私的利用との混在が多いため、30〜50%が実務的な目安です。業務専用のSIMを別に契約している場合は100%経費にできます。

通信費の種類 按分割合の目安 備考
インターネット回線(自宅兼事務所) 50〜80% 業務比重が高ければ高く設定可
スマホ(1台・業務兼用) 30〜50% 私的利用が多いほど低くする
スマホ(業務専用) 100% 私的利用なしと証明できる場合

会計ソフトでの記帳方法

家事按分の計算ができたら、会計ソフトに正しく登録します。主要3ソフトでの対応方法を説明します。

freee会計の場合

freeeには「家事按分」専用の機能があります。取引入力時に「家事按分を登録する」を選択し、按分割合(%)を入力するだけで自動的に事業用・私用に分けてくれます。毎月の家賃・光熱費の入力時に設定しておけば、確定申告書への反映も自動です。

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マネーフォワード クラウド確定申告の場合

マネーフォワードでは、取引登録時に「按分設定」から事業割合を入力します。銀行口座やクレジットカードと連携している場合は、自動取得された取引に対してまとめて按分設定できるので手間が少ないです。

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やよいの青色申告 オンラインの場合

やよいでは「かんたん取引入力」または「振替伝票」から取引を入力し、家賃の経費分を「地代家賃」として登録します。按分計算は手動で行い、経費になる金額(例:2万円)だけを入力する形になります。計算根拠は別途メモや表計算で管理しておきましょう。

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税務調査で否認されないための注意点

家事按分で一番怖いのが「按分割合が高すぎる」と税務署に指摘されることです。青色申告会で税務調査の相談に立ち会った経験から、現実的な注意点をお伝えします。

(1)按分割合の上限は「実態」で決まる

按分割合に法律上の上限は定められていません。ただし、実態からかけ離れた割合は税務調査で全額否認されることがあります。

たとえば、30㎡のワンルームで「20㎡を仕事に使っている(按分67%)」と主張しても、生活スペースが10㎡しかないというのは現実的に考えにくい。こういうケースは実際に調査で否認されやすいです。

按分割合は「税務署の人間が聞いて、納得感がある水準」を意識してください。家賃・光熱費は50%以下が安全ラインと見ておくのが無難です。

(2)按分の根拠を記録として残す

家賃なら間取り図や面積メモ、光熱費なら業務時間の記録(手帳・勤務管理アプリ等)、通信費なら業務で使う比率の説明メモ。これを年度ごとにフォルダにまとめておくと、万一の調査で一気に提示できます。

青色申告会の窓口でよく言っていたのが「計算方法は何でもいい、でも毎年同じ方法でやること」という話です。割合をコロコロ変えると、恣意的に操作しているように見えてしまいます。

(3)白色申告者への注意

白色申告の場合、家事関連費を必要経費にできるのは「業務に使っている割合が50%を超える費用」が原則です(所得税法施行令第96条)。つまり、家賃の30%だけ経費にしたいという場合、白色申告では原則認められません。

⚠️ 白色申告者への補足
白色申告でも「業務利用が50%を超える場合」は按分が認められますが、50%未満のスペース按分は原則として経費計上できません。家事按分を積極的に活用したい場合は、青色申告への切り替えをおすすめします。

(4)賃貸契約書の「事務所利用」確認

賃貸物件の場合、契約書に「居住用のみ」と記載されていることがあります。家賃を経費計上すると、事業用途で使っていることが税務書類に残るため、万一の際に大家さんとトラブルになるケースがゼロではありません。契約書の用途制限を事前に確認することをおすすめします。


まとめ:在宅勤務の経費化は「根拠の記録」がすべて

在宅勤務の家賃・光熱費・通信費を経費にする家事按分は、正しい計算と記録の管理ができれば十分に節税効果があります。要点を整理します。

  • 家賃は床面積比で按分。間取り図や面積メモを保管。
  • 光熱費は面積比または時間比×面積比で計算。
  • 通信費はインターネット50〜80%、スマホ30〜50%が目安。
  • 按分割合は毎年同じ方法で計算し、根拠を記録に残す。
  • 白色申告者は業務利用50%超でないと按分が原則認められない。

会計ソフトを使えば、按分割合を設定するだけで仕訳から確定申告書作成まで自動化できます。手書きやExcel管理でやっている方は、一度試してみると記帳にかかる時間がかなり変わります。

関連記事:フリーランスが経費にできるもの一覧【勘定科目付き】

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