租税公課の処理|経費にできる税金・できない税金【個人事業主向け】

経費・節税

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この記事を書いた人: 確定申告サポート歴17年。年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場で直接サポートしてきました。記帳指導・会計ソフト指導・労働保険・損害保険・生命保険業務を担当。

「税金を払ったんだから経費になるはず」——確定申告の相談窓口でとても多かった誤解です。

税金の中には経費になるものとならないものがあります。間違えると「所得税・住民税を租税公課として経費に計上していた」という過少申告になり、後から修正申告が必要になることがあります。

この記事では、個人事業主が支払う税金の正しい帳簿処理を、窓口で繰り返し見てきた誤事例と一緒に解説します。

租税公課とは

租税公課は、税金(租税)と公的な負担金(公課)を合わせた勘定科目です。個人事業主が事業のために支払う税金・公的負担を帳簿に記録するときに使います。

窓口で繰り返し言っていた覚え方:

「個人の税金(所得税・住民税)はNG、事業にかかる税金(固定資産税・自動車税・個人事業税・消費税・償却資産税)はOKと覚えておけば9割は対応できます。」

経費になる税金(租税公課として計上できる)

税金の種類 注意点
個人事業税(都道府県税) 8月・11月に納付。通知書が届いた年の経費になる
固定資産税(事業使用分) 自宅兼事務所・事業専用の場合。自宅居住部分との按分が必要
自動車税・軽自動車税(事業使用分) 私用と兼用の場合は家事按分で事業使用割合分のみ
印紙税 契約書・領収書に貼った収入印紙。全額経費
登録免許税・不動産取得税(事業用) 事業用資産の取得に係るもの。自宅用は対象外
償却資産税(固定資産税の一種) 事業用のPC・機械等に課される地方税。全額経費
消費税(税込経理方式の確定申告分) 税込経理を選んでいる課税事業者のみ。税抜経理では経費不可

経費にならない税金

税金の種類 理由・正しい処理
所得税・復興特別所得税 個人の所得に対する税。事業の費用ではない。帳簿では「事業主貸」
住民税(所得割・均等割) 個人の税金。帳簿では「事業主貸」。事業税と混同しないこと
国民健康保険料・国民年金保険料 個人の社会保険。「社会保険料控除」で確定申告書に記入。帳簿は事業主貸
延滞税・加算税・罰金・過料 法令違反によるペナルティ。経費計上は明確にNG
所得税の予定納税・消費税の中間納付 前払いであり経費でない。「仮払税金」として処理し確定申告時に精算
相続税・贈与税 個人の税金。事業の経費にはならない

窓口で実際に多かったNG処理3パターン

① 所得税・住民税を「租税公課」で経費計上

最も多かった誤りです。「税金を払ったから経費になる」と思い、所得税・住民税の納付額を帳簿の「租税公課」に入力しているケースが毎年必ず出てきました。

正しい処理:事業口座から所得税・住民税を払った場合は「事業主貸」で処理します。経費には入れません。

② 個人事業税の計上漏れ

個人事業税は「経費になる」という認識がない方が多く、計上漏れが続いていたケースが目立ちました。

個人事業税は都道府県税で、前年の事業所得が290万円(事業主控除)を超えた場合に課税されます。8月と11月に通知・納付があります。

⚠️ 計上する年に注意
個人事業税は「確定した年」の経費になります。たとえば8月に届いた令和7年分の事業税通知書(令和6年分の所得に基づく)は、令和7年の確定申告で経費計上します。「前の年の所得に基づいているから前の年の経費では?」という混乱が多いですが、通知を受けた年・実際に納付した年の経費です。

③ 固定資産税・自動車税の全額計上(按分なし)

自宅兼事務所の場合、固定資産税全額を租税公課に入れているケースが多い。事業使用部分のみが経費です。家事按分の割合(面積等)を根拠に按分計算が必要です。

事業専用の物件・車両であれば全額計上できます。

予定納税・中間納付は「仮払い」扱い

所得税の予定納税(7月・11月)や消費税の中間納付は、確定申告前の仮払いです。経費ではありません。

帳簿での処理:

  • 予定納税:(借)仮払税金 ×× / (貸)普通預金 ××
  • 確定申告時:確定税額から予定納税額を差し引いて精算

予定納税を「租税公課」として経費計上してしまうと、所得が二重に少なく計算されます。税務調査では必ず確認されるポイントです。

消費税の経理方式による違い

課税事業者の消費税処理には「税込経理」と「税抜経理」の2方式があり、消費税の扱いが変わります。

経理方式 消費税の確定納付額の処理
税込経理方式 租税公課として経費計上できる
税抜経理方式 仮受消費税と仮払消費税の差額として処理。経費にはならない

どちらの方式かわからない場合は、会計ソフトの設定または過去の申告書で確認してください。

会計ソフトで勘定科目を正しく設定する

freee・マネーフォワード・やよいでは、税金の支払いを入力する際に勘定科目「租税公課」を選択できます。ただし所得税・住民税の支払いは「事業主貸」で入力する必要があります。会計ソフトのデフォルトに任せず、勘定科目を正しく設定することが重要です。

どれも無料期間があります。実際に操作してみてから、自分に合う1本を選んでください。

まとめ

  • 経費OK:個人事業税・固定資産税(事業分)・自動車税(事業分)・印紙税・償却資産税・消費税(税込経理の場合)
  • 経費NG:所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金・延滞税・罰金
  • 所得税・住民税を事業口座から払っても経費ではなく「事業主貸」で処理する
  • 個人事業税は通知・納付した年の経費。計上漏れが非常に多い税目
  • 予定納税・消費税中間納付は前払いであり経費でない
  • 固定資産税・自動車税は自宅兼用の場合は家事按分で事業分のみを計上

「税金を払った=全部租税公課でOK」ではありません。税目ごとの取り扱いをひとつひとつ確認してください。

税理士に頼むと年間30〜50万円かかります。会計ソフトなら月1,000円前後で確定申告まで完結します。


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