個人事業主の減価償却完全ガイド|耐用年数と計算方法

経費・節税

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この記事を書いた人: 確定申告サポート歴17年。年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場で直接サポートしてきました。記帳指導・会計ソフト指導・労働保険・損害保険・生命保険業務を担当。

「買ったものを全額その年の経費にできないのはなぜ?」——新しい機材やパソコンを購入したとき、よく出る疑問です。答えは「減価償却」という仕組みにあります。

長く使う資産は、使用年数に応じて経費を分割して計上する——これが減価償却の基本ルールです。ただし、金額によって「即時に全額経費」「3年で均等に分割」「毎年少しずつ経費化」と処理が分かれます。

この記事では、個人事業主が知っておくべき減価償却の全体像を解説します。

減価償却とは:価値が下がる資産を年々経費化する仕組み

パソコン・車・機械などは時間が経つとともに価値が下がります。この「使うことで減る価値」を、毎年少しずつ経費として計上するのが減価償却です。

たとえば120万円の機材を耐用年数6年で減価償却する場合、毎年20万円ずつ経費に計上します(定額法の場合)。120万円を一度に経費にするのではなく、6年間で分割して費用認識する考え方です。

取得価額による3つの処理区分

資産の取得価額によって、経費化の方法が3段階に分かれます。

取得価額 処理方法 使う勘定科目
10万円未満 全額即時経費(消耗品費) 消耗品費
10万円以上20万円未満 3年間で均等償却(一括償却資産) 一括償却資産
20万円以上30万円未満(青色申告・少額特例) 全額即時経費(特例)※年間300万円まで 消耗品費 等
30万円以上(または少額特例の対象外) 法定耐用年数で減価償却 工具器具備品・車両運搬具 等

青色申告者が使える「30万円未満の少額特例」は、取得価額が20万円以上30万円未満の資産を一括で経費化できる特例(租税特別措置法第28条の2)。ただし年間合計300万円が上限です。

ここで見落としやすいのが、所得税の確定申告とは別に市区町村へ届け出る「償却資産税」の申告です。少額特例を使って全額を経費にした資産であっても、取得価額20万円以上のものは償却資産税の申告対象になります。詳しい申告手続きは償却資産税の申告ガイドで解説していますので、あわせてご確認ください。

定額法による減価償却の計算方法

個人事業主の減価償却は、原則として定額法(毎年同額を償却)が適用されます。

計算式:取得価額 × 定額法の償却率 = 年間償却費

平成19年4月1日以後に取得した資産は残存価額が廃止されており、最終的に帳簿価額が1円(備忘価額)になるまで償却を続けます。

計算例:パソコン120,000円・耐用年数4年

  • 耐用年数4年の定額法償却率:0.250
  • 年間償却費:120,000円 × 0.250 = 30,000円
  • 4年間合計:30,000円 × 4年 = 120,000円(1円残し)

※購入年が年の途中(たとえば7月)の場合は、その年の使用月数分(12か月中6か月)で按分します。

主な資産の法定耐用年数

資産の種類 耐用年数 定額法の償却率
パソコン(電子計算機) 4年 0.250
普通乗用車(自動車) 6年 0.167
カメラ(光学機器) 5年 0.200
木造建物(事務所用) 33年 0.031
鉄骨鉄筋コンクリート造建物(事務所用) 50年 0.020
金属製の工具・器具 10年 0.100

正確な耐用年数は国税庁の耐用年数表(財務省令・別表第一)で確認してください。細目の分類によって年数が異なる場合があります。

中古資産の耐用年数(簡便法)

中古の車や機材を購入した場合、残りの使用可能期間を合理的に見積もるのが原則ですが、見積もりが困難なときは次の簡便法を使えます。

①法定耐用年数を全部経過した資産

法定耐用年数 × 0.2(端数切り捨て、最低2年)

例:普通乗用車(耐用年数6年)を6年以上経過した中古で購入 → 6 × 0.2 = 1.2 → 1(切捨て)→ 最低2年 → 耐用年数 2年

②法定耐用年数の一部を経過した資産

(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 0.2(端数切り捨て)

例:耐用年数6年の乗用車を3年経過した中古で購入 → (6 − 3) + 3 × 0.2 = 3 + 0.6 = 3.6 → 3年

⚠️ 多額の資本的支出があると簡便法が使えない
中古資産取得後に行った資本的支出(修理・改良)の金額が、その資産の再取得価額の50%超になる場合、簡便法は使えなくなります。多額のリフォームを行った中古建物等では注意が必要です。

減価償却で注意したいポイント

  • 耐用年数の適用誤り:パソコンでも「サーバー用は5年」「電子計算機は4年」など細目で異なる。勘定科目の説明だけで判断せず国税庁の耐用年数表で確認する
  • 事業用・私用の按分:車やパソコンを事業と私用で兼用する場合は按分が必要。按分なしで全額経費にすると否認される
  • 年の途中で取得した場合の月割計算:購入月から12月までの月数で按分する(例:7月購入→6か月分)
  • 一括償却資産は廃棄しても3年で償却継続:10〜20万円の資産を途中で廃棄しても、3年の残り期間は引き続き均等償却する(売却・廃棄による即時損金処理は不可)

とくにパソコンを購入する場合は、10万円という金額の壁で処理方法が大きく変わります。購入前に具体的な仕訳や判断基準を確認しておきたい方は、個人事業主のパソコン購入と10万円の壁もあわせてご参照ください。

まとめ

  • 10万円未満 → 即時経費(消耗品費)
  • 10万円以上20万円未満 → 一括償却資産(3年均等)
  • 20万円以上30万円未満(青色申告)→ 少額特例で全額即時経費(年300万円まで)
  • 30万円以上 → 法定耐用年数で定額法(個人事業主の原則)で減価償却
  • 中古資産は簡便法で耐用年数を計算(最低2年)

「パソコンを買ったら全部経費にできる」は10万円未満の場合のみです。金額によって処理が変わることを頭に入れておくと、購入前の節税シミュレーションもしやすくなります。

どれも無料期間があります。実際に操作してみてから、自分に合う1本を選んでください。

税理士に頼むと年間30〜50万円かかります。会計ソフトなら月1,000円前後で確定申告まで完結します。


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