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「Uber Eatsの配達で稼いだお金、確定申告っているの?」「経費って何が認められるの?」——配達を始めた方から、毎年この時期にいちばん多く受ける質問です。アプリで完結する手軽さの裏で、税金の処理だけは自分でやらなければいけません。あなたも同じところで止まっているのではないでしょうか。
私は青色申告会の窓口に17年いて、年間500人以上の申告をお手伝いしてきました。ここ数年は配達員の方の相談がはっきり増えています。この記事では、申告が必要になる基準・経費の範囲・事業所得と雑所得の違い・届出の手順まで、副業と専業に分けて順番に解説します。読み終えるころには「自分が何をすればいいか」がはっきりするはずです。
1. ウーバーイーツの確定申告が必要になる基準
「いくら稼いだか」ではなく「所得がいくらか」で決まります。ここを取り違える方が本当に多い。
大前提として、税金の世界でいう所得とは「売上(配達報酬)−経費」のことです。Uberから振り込まれた金額そのものではありません。たとえば年間の配達報酬が60万円でも、経費が15万円あれば所得は45万円。この45万円を基準に、申告が必要かどうかを判断します。
▶ 申告が必要かどうか確認する
※住民税は別途確認
副業で配達している場合
会社員などの給与所得者が副業でUber Eatsをしている場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。配達報酬から経費を引いた額が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要です。
ただし、ここに落とし穴があります。所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になるケースがあるのです。20万円ルールはあくまで所得税の話で、住民税にはこの基準がありません。20万円以下でも、お住まいの市区町村への住民税申告が必要になることがあります。詳しくは副業20万円以下でも確定申告が必要なケースで解説しています。
専業で配達している場合
配達を本業にしている方(他に給与がない方)は、所得が基礎控除を超えると確定申告が必要です。基礎控除は「誰でも所得から差し引ける控除」で、これを下回る所得なら所得税はかかりません。
注意したいのが、2025年(令和7年)分から基礎控除が大きく見直された点です。改正前(令和6年分まで)は一律48万円でしたが、改正後は合計所得金額に応じて段階的になりました。
| 合計所得金額 | 基礎控除額(令和7・8年分) |
|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 |
| 132万円超〜336万円以下 | 88万円 |
| 336万円超〜489万円以下 | 68万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 63万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 58万円 |
つまり専業で所得が少ない方の「申告が必要になるライン」は、改正前の48万円から引き上がりました。なお132万円超〜655万円の区分の上乗せ部分(88万円・68万円・63万円)は令和7・8年分限りの時限措置で、令和9年分以降は58万円に戻ります(132万円以下の95万円は令和9年分以降も継続します)。金額が毎年変わる局面なので、その年分の正しい控除額は必ず国税庁ウェブサイトで確認してください。
2. 事業所得か雑所得か|どちらで申告すべき?
この区分が、青色申告で節税できるかどうかの分かれ道です。
Uber Eatsの配達報酬は、申告のときに「事業所得」か「雑所得」のどちらかに区分します。どちらになるかは自分で勝手に選べるものではなく、活動の継続性・規模・独立性(営利性)といった実態で判断します(国税庁の基準)。
- 専業・メインの収入として継続的に配達 → 事業所得になりやすい
- 副業で小規模・たまに配達する程度 → 雑所得になりやすい
▶ 事業所得か雑所得か確認する
青色申告・損益通算OK
青色申告不可
青色申告・損益通算不可
この違いは大きい。事業所得なら青色申告ができ、赤字を他の所得と相殺する損益通算も使えます。一方の雑所得は、青色申告も損益通算もできません。
判定の材料として、2022年(令和4年)の通達改正で「帳簿書類を保存しているか」が重視されるようになりました。取引を記録した帳簿をきちんと付けて保存していれば、原則として事業所得と扱われやすくなります。逆に帳簿の保存がない場合は、原則として雑所得に区分されます(収入金額が300万円を超え、かつ事業と認められる事実がある場合を除く)。
もう一点、現場の肌感としてお伝えしておきたいことがあります。国税庁は2023年ごろから、いわゆるギグワーカー(プラットフォームを通じて働く人)への調査・情報収集を強めています。「アプリ収入だから税務署にはわからない」という時代ではありません。区分の判断は、実態に合わせて誠実に行うのが結局いちばん安全です。
3. ウーバーイーツ配達員が経費にできるもの一覧
「業務のために使った分」だけが経費。ここを按分で線引きします。
Uber Eatsは配達報酬がすべて口座振込で、現金売上がありません。売上の把握はアプリの明細で完結するのでシンプルです。問題はむしろ経費のほうで、何をどこまで入れられるかを整理しておきましょう。
| 項目 | 経費にできる範囲 |
|---|---|
| スマホ代・通信費 | 業務使用分を按分(例:業務7割なら70%) |
| ガソリン代・交通費 | 業務使用分を按分 |
| 自転車・バイク本体 | 10万円未満は一括、10万円以上は減価償却 |
| 修理代・メンテナンス費 | 業務使用分を按分 |
| 配達バッグ・ヘルメット・雨具 | 業務用なら全額(消耗品・備品) |
| 業務用の傷害保険・賠償責任保険料 | 業務のために加入した保険は全額が経費 |
配達員の方にとくに知っておいてほしいのが保険料です。自転車やバイクで一日中街を走る仕事は、事故のリスクが他の在宅ワークより明らかに高い。万一の対人・対物事故に備えて業務用の傷害保険や賠償責任保険に加入した場合、その保険料は全額を経費に計上できます(生命保険のような所得控除ではなく、事業の経費です)。安全のためにも、加入は前向きに検討する価値があります。実際に窓口でも、加入していなかったために事故後に困ってしまった配達員の方を見てきました。
家事按分の考え方
スマホ代や自宅の電気代のように、プライベートと業務で共用しているものは、業務で使った割合だけを経費にします。これを家事按分といいます。たとえばスマホを業務7割・私用3割で使っているなら、通信費の70%が経費です。割合は「実態に基づいて合理的に」決めるのがルール。経費にできるものの全体像はフリーランスが経費にできるもの一覧もあわせてご覧ください。
按分を甘く見ないほうがいい理由を、過去の裁判例が示しています。事業と私生活の両方に使う支出について、業務に必要な部分を客観的に区分・説明できなければ経費として認められない、と判断された税務訴訟は複数あります(たとえば自宅兼事務所の経費が争われた事例など)。裏を返せば、「この割合にした根拠」を自分の言葉で説明できれば按分は通るということ。配達日数や稼働時間など、後から説明できる材料を残しておきましょう。
4. 税務署への届出|開業届と青色申告承認申請書
事業所得で青色申告するなら、まずこの2枚から。
事業所得として申告したい専業の配達員は、税務署への届出が必要です。出す書類は基本的に次の2つです。
- 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書):住所地を管轄する税務署に提出します。e-Taxでの提出も可能です。提出に費用はかかりません。書き方・必要書類は開業届の書き方・出し方で詳しく解説しています。
- 青色申告承認申請書:青色申告をしたい場合に必要です。提出期限は「開業から2か月以内」または「青色申告をしたい年の確定申告期限である3月15日まで」のいずれか。期限を1日でも過ぎるとその年は青色になれないので、ここは要注意です。
⚠️ 【注意】開業届と失業給付の関係
会社を辞めて配達を始めた方は気をつけてください。開業届を出して「個人事業主になった」とみなされると、ハローワークの雇用保険(失業給付)を受け取れなくなる場合があります。失業給付を受給中・受給予定の方は、開業届のタイミングを必ずハローワークに確認してください。
5. 青色申告 vs 白色申告|配達員はどちらを選ぶ?
帳簿を付ける手間と、控除のメリットを天秤にかけます。
事業所得で申告できる方は、青色申告と白色申告のどちらかを選びます。違いは控除額です。
| 申告方法 | 控除額 | 必要な帳簿 |
|---|---|---|
| 青色申告(最大) | 65万円(複式簿記+e-Tax申告 または電子帳簿保存) | 複式簿記 |
| 青色申告(紙提出) | 55万円(複式簿記+書面提出) | 複式簿記 |
| 青色申告(簡易) | 10万円 | 簡易簿記 |
| 白色申告 | 控除なし | 簡易な記帳 |
白色申告は帳簿が簡易で済む一方、特別控除はありません。配達がメイン収入で利益が出ているなら、65万円の控除が使える青色申告のほうが税負担を軽くできます。
⚠️ 【今後の改正予定】
青色申告特別控除の最高額は、令和9年(2027年)分以降に75万円へ引き上げられる方向で改正が進んでいます。適用時期や要件は確定情報が更新されるため、最新情報は必ず国税庁ウェブサイトでご確認ください。
「複式簿記なんて無理」と身構えなくて大丈夫です。今は会計ソフトを使えば、銀行口座やアプリ明細を連携するだけで複式簿記の帳簿がほぼ自動で出来上がります。帳簿の付け方そのものが不安な方は、個人事業主の帳簿入門で基礎から確認しておくと安心です。
6. ウーバーイーツ確定申告の具体的な手順
やることは4ステップ。順番にこなせば終わります。
- 年間の売上を確認する:Uberのアプリ・パートナー管理画面から、その年の配達報酬・収入明細をダウンロードします。インセンティブやクエスト報酬もここに含まれます。
- 経費をまとめる:ガソリン代・通信費・備品などのレシートや領収書を集めて集計します。日頃から月ごとにまとめておくとラクです。
- 会計ソフトに入力する:売上と経費を会計ソフトに入力(または連携)します。ソフトを使わない場合は、国税庁の確定申告書等作成コーナーに手入力する方法もあります。
- 申告書を作成・提出する:e-TaxやWEBで申告書を作成し、提出します。納税または還付もこの流れで完了します。
申告期間は翌年2月16日〜3月15日です(その年によって土日の関係で前後することがあります)。期限ギリギリは窓口も混み合い、ミスも起きやすい。私の経験上、1月のうちに売上と経費を集計しておくだけで、申告本番がぐっとラクになります。
7. よくある失敗・税務調査で指摘されやすい点
ここからは現場で実際に見てきた「やりがちな間違い」です。
窓口で配達員の方の申告書を見ていて、毎年のように出てくるつまずきがあります。先に知っておけば防げるものばかりです。
- ① 按分比率の根拠を説明できない
「スマホ代はなんとなく50%」では、税務署に理由を聞かれたときに答えられません。「週◯日・1日◯時間配達しているから業務7割」のように、根拠を持って決めておきましょう。 - ② インセンティブ・クエスト報酬の申告漏れ
基本報酬だけ集計して、ボーナス的な報酬を計上し忘れるケースが多発します。これらもすべて売上です。アプリの明細から漏れなく拾ってください。 - ③ 自転車・バイクを全額一括で経費にしてしまう
10万円以上のバイクなどは、その年に全額を経費にできません。耐用年数にわたって分割して計上する減価償却が必要です。ここは指摘の定番です。 - ④ 実態が伴わないのに事業所得にして損益通算を狙う
副業で小規模なのに事業所得で申告し、赤字を給与と相殺しようとする——実態が伴わなければ認められないリスクがあります。区分は実態に合わせるのが鉄則です。
そして繰り返しになりますが、国税庁はUberなどのプラットフォーム事業者への情報照会を強化しています。「申告しなくてもバレない」という発想は通用しにくくなっています。無申告のまま放置すると、後から本税に加えて加算税・延滞税まで課されることになりかねません。最初からきちんと申告しておくのが、結局いちばん負担の軽い道です。
8. 会計ソフトで確定申告を効率化する
ここまで読んで「経費の集計も帳簿付けも、手作業だと大変そう」と感じた方は、その感覚が正解です。とくに青色申告の複式簿記を手書きでやるのは現実的ではありません。
税理士に依頼すると年間でおよそ10〜30万円かかりますが、会計ソフトなら月1,000円前後で確定申告まで完結します。銀行口座やUberの入金を連携すれば、売上や経費の入力もほぼ自動。元青色申告会職員として、初めて申告する配達員の方にはまず会計ソフトをおすすめしています。どれも無料期間があるので、実際に操作してみてから自分に合う1本を選んでください。
確定申告ソフト比較|初めての方におすすめ
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まとめ
Uber Eatsの確定申告は、ポイントを押さえれば決して難しくありません。最後にもう一度整理します。
- 申告が必要かは「売上」ではなく「所得(売上−経費)」で判断する
- 副業は所得20万円超で申告必要(住民税は別途確認)、専業は所得が基礎控除を超えたら必要
- 事業所得か雑所得かは実態で区分。事業所得なら青色申告で節税できる
- スマホ代・ガソリン代は按分、業務用の保険料は全額経費
- 会計ソフトを使えば帳簿付けはほぼ自動化できる
制度の数値は改正が続いている時期です。その年分の正しい金額は、必ず国税庁ウェブサイトで確認しながら進めてください。まずは売上と経費を集計するところから、一歩を踏み出しましょう。


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