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フリーランス・個人事業主として働いていると、出産・育児の前後に「確定申告はどうすればいい?」「保険料の免除制度があると聞いたけど手続きは?」という疑問が出てきます。
会社員のように自動的に産休・育休が適用されるわけではないため、自分で知識を集めて動く必要があります。知らないと損してしまう制度がいくつかあります。青色申告会の窓口でも、出産後に「こんな制度があったんですね」と驚かれることが多かったテーマです。
この記事では、個人事業主・フリーランス女性が出産・育休中に知っておくべき税金と社会保険の手続きを整理して解説します。
個人事業主には「産休・育休」の制度はない
まず大前提として、会社員に適用される産前産後休業・育児休業の法律(労働基準法・育児・介護休業法)は、雇用されていない個人事業主には適用されません。
法律上の「産休・育休」がない代わりに、国民健康保険・国民年金には個人事業主向けの「保険料免除制度」があります。これを活用することで、出産前後の保険料負担を減らすことができます。
受け取った給付金の課税・非課税
出産・育児に関係して受け取る給付金は非課税のものが多いですが、整理しておきましょう。
| 給付金の種類 | 個人事業主への適用 | 課税 / 非課税 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金(健康保険・国保) | ✅ 受け取れる | 非課税 |
| 出産手当金(健康保険) | ❌ 国保は対象外 | (個人事業主には支給なし) |
| 育児休業給付金(雇用保険) | ❌ 対象外 | (雇用保険に加入していない) |
| 児童手当 | ✅ 受け取れる | 非課税 |
出産育児一時金(現在は原則50万円)は非課税のため、確定申告で収入として申告する必要はありません。また確定申告には含めず、医療費控除の計算で出産費用から差し引くことになります(後述)。
国民健康保険:産前産後の保険料免除制度
2024年1月から、国民健康保険の産前産後期間の保険料が免除される制度が始まりました。
免除される期間
出産予定月の前月から出産予定月の翌々月まで(通常4か月間)。多胎妊娠の場合は前々々月から翌々月まで(6か月間)。
免除される保険料
免除対象の期間における所得割額と被保険者均等割額(産婦本人分)が免除されます。
手続き方法
市区町村の国民健康保険担当窓口に届出が必要です。出産予定日の6か月前から届出が可能です。必要書類は母子手帳(出産予定日・出産日がわかるもの)とマイナンバーカード(または通知カード)です。
⚠️ 自動適用ではないため必ず届出が必要
この制度は届出をして初めて適用されます。出産後に「知らなかった」と言っても遡及が難しいケースがあります。妊娠が確定したら早めに市区町村窓口に問い合わせてください。
国民年金:産前産後の保険料免除制度
国民年金にも、2019年4月から産前産後の保険料免除制度があります。
- 免除期間:出産予定月の前月から出産月の翌々月まで(4か月間)
- 免除期間は年金の受給資格期間にカウントされる(将来の年金に不利にならない)
- 手続き先:最寄りの年金事務所または市区町村の国民年金担当窓口
- 必要書類:母子手帳(出産予定日・出産日がわかるもの)、マイナンバー
出産費用は医療費控除の対象
妊娠・出産に関する医療費は、医療費控除の対象になります。
医療費控除の対象になるもの
- 妊婦健診(定期健診・血液検査・超音波検査など)
- 出産費用(分娩費・入院費・帝王切開の手術費等)
- 通院交通費(電車・バス等の実費)※マイカーのガソリン代は不可
医療費控除の計算方法
控除額 = 実際の医療費 − 出産育児一時金などの補填 − 10万円(または所得の5%)
出産育児一時金50万円を受け取り、出産費用が75万円だった場合:
医療費控除対象額 = 75万円 − 50万円 − 10万円 = 15万円
この15万円が所得から控除されます(税率10%なら1.5万円の節税)。
育休中でも事業継続なら確定申告が必要
会社員と違い、個人事業主が「育休中」でも事業を正式に廃業するわけではありません。事業から少しでも収入があれば、確定申告の義務があります。
育児中で仕事を大幅に減らしている場合でも:
- 年間の事業所得がある → 確定申告が必要
- 所得がゼロまたは赤字 → 申告によって還付を受けられる可能性がある
- 国民健康保険料・国民年金保険料・医療費控除など各種控除を申告できる
育児中の経費計上:注意が必要なもの
在宅で仕事をしながら育児をしている場合、経費の判断に注意が必要です。
| 支出の種類 | 経費判断 | ポイント |
|---|---|---|
| 保育所・ベビーシッター費用 | 原則NG | 育児のための支出であり事業との直接の関連性が認めにくい |
| 赤ちゃん用品(ベビー服・おもちゃ) | NG | 事業と無関係の家事費用 |
| 在宅ワーク中の光熱費(家事按分) | 一部OK | 仕事をしている時間・スペースの割合で按分 |
| 仕事に使うPC・書籍・ツール | OK | 事業で使用することが明確であれば通常通り経費計上 |
iDeCo・小規模企業共済の掛金:育休中の扱い
個人事業主がiDeCoに加入している場合、育休中でも掛金の拠出は可能です(法律上の育休に入った場合は一時停止のルールがありますが、個人事業主は法律上の育休制度が適用されないため)。ただし、掛金を拠出した分は所得控除になるため、所得がゼロまたは少ない年は節税効果が下がります。
小規模企業共済も同様に、事業を継続している限り継続拠出が可能です。
なお、国保・国民年金の保険料免除とは別に、生命保険料や労働保険(労災保険の特別加入・雇用保険)は税務上の取り扱いが異なります。個人事業主が加入する保険料を一度整理しておきたい方は、個人事業主の保険料処理|生命保険は控除・労働保険は経費の違いを解説もあわせてご覧ください。
産後の確定申告で使える会計ソフト
育児中の確定申告は、帳簿付けを後回しにしているうちに申告期限が迫ってくることがあります。会計ソフトを使えば、レシートの写真を撮るだけで自動仕訳してくれる機能があるものも多く、育児の合間にこまめに記録しやすくなります。
どれも無料期間があります。実際に操作してみてから、自分に合う1本を選んでください。
また、育休中で収入が減っても、住民税は前年の所得をもとに計算されるため、翌年に負担が重く感じられることがあります。仕組みと対策はフリーランスの住民税はなぜ高い?【2026年版】計算方法と節税で詳しく解説していますので、資金繰りの見通しを立てる際の参考にしてください。
まとめ
個人事業主の出産・育休期間の税金・社会保険のポイントをまとめます。
- 出産育児一時金・児童手当は非課税。確定申告に収入として含めない
- 国民健康保険:産前産後4か月間(多胎は6か月)の保険料免除制度あり(要届出)
- 国民年金:産前産後4か月の保険料免除制度あり(要届出)。年金受給額に不利なし
- 出産費用は医療費控除の対象。一時金との差額が控除される
- 育休中でも事業を続ける場合は確定申告が必要
- 保育費用・赤ちゃん用品は経費にならない
知らないと損する制度がいくつかあります。特に国保・国民年金の保険料免除は届出が必要なため、妊娠がわかったら早めに手続きを確認してください。
税理士に頼むと年間30〜50万円かかります。会計ソフトなら月1,000円前後で確定申告まで完結します。


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