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副業20万円以下でも確定申告が必要なケース
「副業の稼ぎが20万円以下だったから、申告しなくていいよね」——と安心していたら、翌年に税務署から「お尋ね」が届いた。
青色申告会で17年間、年間500人以上の個人事業主・会社員の申告相談を受けてきた私が、現場でいちばん多く見てきた誤解がこれです。「20万円以下は申告不要」というルールは本当に存在しますが、適用されない状況がいくつかある。そこを知らずにいると、後から無申告加算税・延滞税がまとめてのしかかってきます。
この記事では、20万円以下でも確定申告(または住民税申告)が必要になる5つのケースと、申告漏れのペナルティを具体的に説明します。
・「副業20万円以下申告不要」の正確な意味
・20万円以下でも申告が必要な5つのケース
・住民税申告で会社バレを防ぐ方法
・申告漏れのペナルティ(無申告加算税・延滞税)
「20万円以下なら申告不要」の正確な意味
まず、ルールの根拠を確認しておきましょう。
所得税法第121条には「給与所得者の確定申告不要制度」が定められています。給与を1か所から受け取っていて、かつ年末調整が済んでいる場合、給与以外の所得の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要——というのが正確な条件です。
① 給与の受け取りが1か所のみ
② 勤務先で年末調整が済んでいる
③ 給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下
ここで「所得」とは、収入から必要経費を引いた後の金額です。売上(収入)ではありません。たとえばメルカリで月2万円売り上げても、仕入れ・送料・梱包材を引いた純利益が20万円以下なら対象に入る、という話です。
そして、このルールはあくまで「所得税の確定申告」の話です。住民税には同様の制度がありません(後述)。
副業20万円以下でも確定申告が必要な5つのケース
ケース① 医療費控除・ふるさと納税など、別の理由で確定申告をする場合
これがいちばん引っかかりやすいパターンです。
副業の所得が18万円だとします。「20万円以下だから申告不要」と思っていたところに、その年は医療費が多くかかったので還付を受けようと確定申告することにした——この瞬間、副業所得も含めてすべての所得を申告する義務が生じます。
申告不要制度はあくまで「確定申告そのものをしない場合」の特例です。申告書を提出する以上、20万円以下の副業所得も一緒に申告しなければなりません。ふるさと納税の寄附金控除・住宅ローン控除・セルフメディケーション税制なども同じです。
確定申告した方が還付を受けられるのに、副業がバレるのが怖くて申告を控える人もいますが、それは本末転倒。後で税務調査に入られたときのリスクの方がずっと大きい。
ケース② 住民税は申告不要制度がない(市区町村への住民税申告が必要)
「20万円以下だから申告しなかった」という人が見落としがちなのが住民税です。
住民税(市区町村民税・都道府県民税)には、所得税のような「20万円以下申告不要」という特例がありません。副業所得が1万円でも発生していれば、市区町村への住民税申告が原則必要です。
ただし、所得税の確定申告書を提出した場合は、その情報が税務署から市区町村に自動的に送られるため、別途住民税申告をする必要はありません。問題になるのは「所得税の申告不要制度を使って確定申告をしなかった場合」です。この場合、副業所得を住民税申告で市区町村に届け出る必要があります。
申告しなければ住民税の計算が正しくされず、後から追徴課税になるリスクがあります。
ケース③ 2か所以上から給与をもらっている場合
副業の形態が「アルバイト」や「別会社の給与」のケースは要注意です。
20万円以下の申告不要制度が使えるのは、給与を受け取っているのが1か所のみという条件が前提です。本業の会社Aの給与に加えて、副業でパートや非常勤として別会社Bからも給与をもらっている場合は、たとえB社の給与が年間5万円でも確定申告が必要になります。
副業をアルバイトで始める方が増えていますが、「ちょっと稼いだだけだから」と申告しないと申告漏れになります。
ケース④ 年末調整を受けていない・給与収入が2,000万円超の場合
申告不要制度の条件に「年末調整が済んでいること」があります。
勤務先で年末調整を受けられなかった場合(年の途中で退職した、など)や、給与収入の合計が2,000万円を超える場合は、そもそも確定申告が必要な立場です。この場合、副業所得の金額にかかわらず確定申告を行い、副業所得も一緒に申告する必要があります。
ケース⑤ 経費を引く前の「売上」と「所得」を混同しているケース
これは計算の話ですが、見落としが多いパターンです。
「副業の売上が25万円あったから申告が必要だ」と思っていても、仕入れ・交通費・材料費などの経費を引いた所得が20万円以下なら申告不要です。申告不要の判断基準は「売上(収入)」ではなく「所得(収入−経費)」で行います。
逆に要注意なのが、「売上は15万円だから大丈夫」と思っていたのに、会計ソフトで正しく計算したら経費が少なく所得が20万円を超えるケース——はさすがに起きませんが、「売上と所得を別の数字として意識せず、なんとなく20万円以下と思い込む」という状況が問題です。freee・マネーフォワードなどの会計ソフトに売上と経費を入力すれば所得が自動計算されるため、「思っていたのと違う金額だった」という見落としを防げます。
ただし、正しく計算するには収入・経費を記録しておく必要があります。freee・マネーフォワードなどの会計ソフトを使っていれば、売上と経費を入力するだけで所得が自動計算されるので、「思ったより所得が多かった」という見落としを防げます。
住民税の「普通徴収」申告で会社バレを防ぐ方法
副業がある場合、住民税の金額が増えることで本業の会社に副業がバレるリスクがあります。これを防ぐ方法が「普通徴収の選択」です。
確定申告書の第二表に「住民税に関する事項」という欄があり、「給与以外の住民税の徴収方法」として「自分で納付(普通徴収)」を選択できます。これを選ぶと、副業分の住民税は自分で納付書を受け取って納める形になり、本業の給与から天引き(特別徴収)されません。
一部の自治体では、副業等の給与所得に係る住民税について、普通徴収(自分で納付)の選択ができなくなる運用変更が検討・実施されている場合があります。お住まいの市区町村の最新情報を必ず確認してください。
また、住民税申告のみを市区町村に行う場合(所得税の申告不要制度を使った場合)も、申告書の「給与以外の所得の徴収方法」欄で普通徴収を選択できます。ただし、対応状況は自治体により異なるため、窓口または自治体のウェブサイトで確認してください。
申告漏れのペナルティ
「バレなければいい」と思っている方がいますが、税務署のデータ照合は年々精度が上がっています。副業収入が振り込まれる口座・マイナンバーの紐付け・会社への調査——どこかで必ず追跡される可能性があります。
申告漏れが発覚したときに追加でかかるペナルティが以下の2つです。
無申告加算税
| 納税額 | 税率 |
|---|---|
| 50万円以下の部分 | 15% |
| 50万円超〜300万円以下の部分 | 20% |
| 300万円超の部分 | 30%(2024年1月1日以降) |
税務調査が入る前に自分から期限後申告をすれば、税率が5%に軽減される特例があります。気づいたら早めに動くのが鉄則です。
延滞税
| 期間 | 税率(2026年) |
|---|---|
| 法定納期限翌日〜2か月以内 | 年2.4% |
| 2か月超 | 年8.7% |
延滞税は申告・納税が遅れるほど積み上がります。税金の未納額が大きいほど、毎日利息が増えていくイメージです。
副業所得が30万円(所得税率10%として税額3万円)を2年間放置した場合——
無申告加算税:3万円 × 15% = 4,500円
延滞税(概算):最初2か月 3万円×2.4%×2/12≈120円 + 残り22か月 3万円×8.7%×22/12≈4,785円 = 合計約4,900円
※2か月を超えた時点から税率が年8.7%に跳ね上がるため、2年放置だとほぼ全期間が高い税率で計算されます
ペナルティ合計:約9,400円(本来の税額3万円に対し、3割超が追加でかかる計算)
「申告せずに得をした」どころか、放置すれば放置するほど損が膨らみます。
まとめ
「副業20万円以下なら申告不要」は本当のルールですが、適用できる状況には条件があります。
- 医療費控除・ふるさと納税など別の理由で確定申告をするなら、副業所得も一緒に申告必須
- 住民税には申告不要制度がない——副業所得がある場合は住民税申告(または確定申告)が必要
- 2か所以上から給与をもらっていれば、金額にかかわらず確定申告が必要
- 年末調整が済んでいないケースも申告が必要
- 「売上」と「所得」を混同しない——経費を正しく計算してから判断する
副業の所得が申告ラインに達した場合の確定申告の全体像については、副業会社員の確定申告もあわせてご覧ください。
現場で見てきた実感として、申告漏れのほとんどは「悪意」ではなく「知らなかった」が原因です。ルールを正確に理解した上で、会計ソフトを使って経費を正しく管理し、判断が迷ったら早めに税務署か税理士に相談するのが最善です。
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参考:国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 / 国税庁 延滞税の割合


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