最終更新日:2026年6月26日
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「副業を始めたら確定申告が必要って聞いたけど、自分は当てはまるの?」
副業収入が増えてきた会社員の方から、この質問を受けることが増えています。「会社にバレたくない」という不安と「申告しなかったらどうなる?」という恐怖が重なって、判断できないままでいる方が多いです。この記事ですっきり整理します。
「20万円以下だから申告しなくていい」は半分正解・半分間違いです
所得税は申告不要でも、住民税は申告が必要なケースがあります。ここを知らないと損します。
確定申告の相談窓口で17年間、副業会社員の確定申告を何百件も見てきました。よくあったのが、「所得税は20万円以下だから何もしなくていい」と判断して放置し、翌年になって住民税の通知額が想定と違っていて窓口に駆け込んでくるパターンです。所得税の「20万円ルール」だけを把握していると、住民税の落とし穴にはまります。
もう少し踏み込んだケース別の解説は副業20万円以下でも確定申告が必要なケースでまとめています。あわせて読むと判断がはっきりします。
副業会社員が確定申告で迷う3つの原因
「自分は大丈夫」と思っていた人が、後から追徴課税を受けるのは珍しくありません。
原因① 「20万円ルール」の意味を誤解している
会社員(給与所得者)は、給与以外の所得(副業の収入−経費)が年間20万円以下なら所得税の確定申告は不要です(国税庁タックスアンサーNo.1900)。ただしこれは所得税の話。住民税については、原則としてすべての所得を市区町村に申告する義務があります。
原因② 「収入」と「所得」の違いがわからない
20万円の基準は「収入」ではなく「所得(収入−経費)」です。経費を正しく計上することが、申告義務の有無を左右します。具体的な金額のイメージは次の計算例で詳しく見ていきます。
原因③ 住民税から会社にバレる仕組みを知らない
会社員の住民税は原則として「特別徴収」(給与天引き)です。副業収入があると住民税の総額が増え、その通知が会社の給与担当者に届きます。対策として、確定申告時に副業分の住民税を「自分で納付(普通徴収)」に設定することで、会社経由の通知を避けられる場合があります(後述のとおり、すべての副業で使える方法ではありません)。
副業収入の計算例|「収入」と「所得」はこんなに違う
言葉で「所得=収入−経費」と聞いてもピンとこない方が多いので、3つのケースで具体的に並べてみます。申告が必要かどうかは、いちばん右の「所得」の列で判断します。
| 副業の例 | 年間の収入 | 経費 | 所得(収入−経費) |
|---|---|---|---|
| ブログ・アフィリエイト | 30万円 | 15万円 | 15万円(20万円以下) |
| フリーランス案件(Web制作など) | 50万円 | 10万円 | 40万円(20万円超) |
| メルカリで自宅の不用品を売却 | 8万円 | — | 原則として非課税(所得なし) |
ブログ収入は30万円でも経費15万円を引けば所得15万円で申告不要(住民税の申告は別途必要)。フリーランス案件は所得40万円なので申告が必要です。メルカリで生活用品(家具・衣類・本など)を売ったお金は原則として非課税で所得に含めません(国税庁タックスアンサーNo.3105)。ただし転売目的で仕入れた商品の販売や、1点30万円超の貴金属・美術品は課税対象です。
「収入が20万円を超えたら即アウト」ではありません。経費を引いた所得で判断する——この一点を押さえるだけで、無駄な不安も危険な申告漏れも避けられます。
年末調整があるから確定申告は不要?会社がやってくれる範囲
「会社で年末調整をしてもらっているから、確定申告はいらないですよね?」——これも窓口で頻出した質問でした。年末調整はあくまで本業の給与についての精算で、副業分はカバーされません。会社がやってくれることと、できないことを整理します。
| 年末調整でできること(会社が処理) | 年末調整でできないこと(自分で確定申告) |
|---|---|
| 本業の給与所得の税額計算・精算 | 副業分の所得(収入−経費)の申告 |
| 社会保険料控除(給与天引き分) | 医療費控除 |
| 基礎控除・配偶者控除・扶養控除 | ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合) |
| 生命保険料控除・地震保険料控除 | 初年度の住宅ローン控除 |
つまり、年末調整は「本業の給与だけが対象」。副業の所得が20万円を超えていれば、年末調整とは別に自分で確定申告をする必要があります。逆に、医療費控除やふるさと納税のために確定申告をするなら、そのタイミングで副業分もまとめて申告するのが自然です。
申告が必要かどうかの判断フロー
「知らなかった」では済まされない税務のルールを、今日正しく把握しておきましょう。
| 状況 | 所得税の申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|
| 副業所得が年間20万円以下 | 不要 | 原則必要(市区町村で確認) |
| 副業所得が年間20万円超 | 必要 | 必要 |
| 医療費控除・ふるさと納税も申告したい | 必要 | 必要 |
| 複数の会社から給与を受け取っている | 必要 | 必要 |
| 副業で源泉徴収されている(還付したい) | 必要(還付) | 必要 |
副業の種類別:所得区分と申告の注意点
副業の種類によって、所得区分(事業所得 or 雑所得)や申告の注意点が異なります。
| 副業の種類 | 所得区分 | 注意点 |
|---|---|---|
| クラウドソーシング・フリーランス | 事業所得または雑所得 | 継続・反復していれば事業所得として申告できる |
| ブログ・アフィリエイト・YouTube | 事業所得または雑所得 | 収入が少ない段階は雑所得。拡大すれば事業所得へ |
| せどり・メルカリ等の物販 | 雑所得(または事業所得) | 生活用品の売却は非課税。仕入れて転売するなら所得として申告 |
| 株式・投資信託の売却益 | 譲渡所得(分離課税) | 特定口座(源泉徴収あり)なら申告不要。損失は翌年繰越可 |
| 不動産賃貸 | 不動産所得 | 赤字は給与所得と損益通算可能(土地取得借入金利息部分を除く) |
| 原稿料・講演料 | 雑所得(または事業所得) | 源泉徴収(10.21%)が引かれていることが多い。確定申告で精算 |
事業所得と雑所得の違い(税務上重要)
副業が「事業所得」になるか「雑所得」になるかは、節税上の大きな差があります。
- 事業所得:赤字を給与所得と損益通算できる。青色申告特別控除(最大65万円)が使える
- 雑所得:赤字は他の所得と通算できない。青色申告の特典が使えない
国税庁は2022年10月に通達を改正し、副業の帳簿記録がある場合に事業所得と認めやすくなりました(国税庁:副業収入が300万円以下の場合の取り扱い)。副業を事業として継続するなら、帳簿をつけて申告することが重要です。
参考裁決:国税不服審判所・令和3年分以降の所得区分に関する裁決事例(国税庁裁決事例集 https://www.kfs.go.jp/ 参照)
※個別の事案に基づく判断です。現行税制と異なる場合があります。
申告しなかったら?ペナルティの現実
| ペナルティ | 税率・内容 |
|---|---|
| 無申告加算税 | 税務調査後は本税の15〜20%(300万円超の部分は30%)。調査の通知を受ける前に自主的に期限後申告すれば5%に軽減 |
| 延滞税 | 令和8年(2026年)は納期限翌日から2か月以内が年2.8%、2か月超は年9.1%。申告期限の翌日から日割り計算 |
| 重加算税(意図的な隠蔽の場合) | 本税の35〜40%。悪質な場合は刑事罰も |
「少額だから大丈夫」と考えていた方が税務署から連絡を受けるケースを実際に見てきました。副業収入が証券会社・支払調書・マイナンバー等を通じて税務署に把握されるケースは増えています。
副業会社員が今日からやるべき5ステップ
「後でまとめてやろう」が最大のリスクです。今年分を今年中に整理しましょう。
STEP 1:副業の収入と経費を年間集計する
請求書・領収書・銀行振込記録を整理します。クラウドソーシングなら管理画面から収入明細をダウンロードできます。源泉徴収されている場合は支払調書も保管します。
STEP 2:「所得(収入−経費)」が20万円を超えるか確認する
経費を正しく計上した上で判断します。20万円超なら確定申告の準備を始めます。源泉徴収で払いすぎた税金がある場合は、20万円以下でも申告して還付を受けましょう。
STEP 3:本業の源泉徴収票を入手する
毎年1月頃に会社から発行されます。確定申告書に転記するため、数値をすべて使います。
STEP 4:確定申告書を作成し、住民税を「普通徴収」に設定する
会計ソフトまたは国税庁の確定申告書作成コーナーで申告書を作成します。住民税の普通徴収への切り替えは、確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」欄で行います。具体的な操作は次のセクションで詳しく説明します。
STEP 5:3月16日までにe-Taxで申告する
令和7年(2025年)分の申告期限は2026年3月16日(月)です(国税庁:令和7年分 確定申告特集)。還付申告は対象となる年の翌年1月1日から5年間可能なので、過去の未申告がある場合も遡って申告できます。
住民税を「普通徴収」に切り替える具体的な手順
会社に副業の住民税分の通知を回さないためには、確定申告書で「自分で納付」を選んでおく必要があります。ここはチェックを入れ忘れる人が本当に多い箇所なので、丁寧に説明します。
書面の場合、確定申告書第二表下部の「住民税・事業税に関する事項」欄にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で「自分で納付」に〇を付けます。e-Tax(確定申告書等作成コーナー)の場合は、入力を進めると「住民税等に関する事項」のページが出てくるので、徴収方法の選択で「自分で納付」を選びます。最後の確認画面で反映されているか見ておくと安心です。ここを「特別徴収」のままにすると、副業分の住民税が本業の給与天引きに合算され、会社の給与担当者に金額が伝わってしまいます。
いつ申告すれば、いつから反映されるか
住民税は前年(1〜12月)の所得をもとに、その年の6月ごろに新しい税額が決まります。たとえば令和7年(2025年)分を2026年3月16日までに申告すれば、その内容は2026年6月以降に通知される住民税に反映され、副業分はその6月の通知から普通徴収(自分で納付書を使って納める方式)に振り分けられます。
「確定申告はちゃんとしたのに、会社から呼ばれた」という相談が来たことがあります。確認すると、普通徴収への切り替えを忘れていたケースでした。事業所得と給与所得が合算されて特別徴収の通知が会社の給与担当に届き、問い詰められたというものでした。「申告したかどうか」より「普通徴収を選んだかどうか」の確認が、実は最も重要なポイントです。
「副業が会社にバレないか」よくある疑問への回答
このテーマは不安が大きいぶん、ネット上に「絶対バレない方法」のような断定情報があふれています。税務上の仕組みとして正直に言える範囲でお答えします。
Q. 普通徴収にすれば100%バレませんか?
いいえ、「普通徴収にしたから絶対にバレない」とは言えません。普通徴収への切り替えは、住民税の通知という経路から発覚するリスクを下げる方法であって、ゼロにする保証はありません。市区町村によっては事務処理上、普通徴収の希望どおりに分けられないケースもあると言われています。
Q. どんな副業でも普通徴収を選べますか?
いいえ。普通徴収を選べるのは、副業が事業所得・雑所得・不動産所得などの場合です。副業が「給与」として支払われるアルバイト・パートの場合は、その給与も特別徴収(天引き)の対象となるのが原則で、普通徴収に切り替えられません。アルバイト系の副業は、この仕組み上どうしても本業の会社に伝わりやすくなります。
Q. そもそも副業をしてもいいのか不安です
本記事で扱っているのは税務上の手続きだけです。勤務先の就業規則で副業が禁止・許可制になっているかどうかは、税金とはまったく別の問題です。就業規則や副業禁止規定への対応については、社会保険労務士や弁護士など労務の専門家にご相談ください。税務の手続きを正しく行うことと、勤務先のルールを守ることは、それぞれ分けて考える必要があります。
副業の確定申告でよくある3つのミス
確定申告サポート歴17年の運営者として副業会社員の相談を受ける中で、繰り返し出てくるミスのパターンをご紹介します。
ミス① 「収入20万円以下だから申告不要」と勘違いした
基準は「所得(収入−経費)」で判断します。収入が25万円あっても、経費が7万円あれば所得は18万円で所得税の確定申告は不要です。逆に、経費がほとんどない副業(コンテンツ配信・フリマ・語学レッスン等)は収入が20万円を超えたら申告が必要になりやすいです。
ミス② 住民税の申告を忘れた
「所得税は20万円以下だから申告不要」と確定申告しなかった結果、住民税の申告も未提出のまま翌年に通知が届いて慌てるケースです。所得税と住民税は別ルール。所得税が申告不要でも、住民税の申告が必要かどうかを市区町村に確認しましょう。
ミス③ 普通徴収への切り替えチェックを忘れた
確定申告書第二表で「自分で納付」を選び忘れ、会社の給与担当者が住民税の増額に気づいて副業が発覚したケースです。前述のとおり、申告書のチェック欄は提出前に必ず確認してください。
税理士に頼むと年間30〜50万円かかります。会計ソフトなら月1,000円前後で、収入と経費の集計から確定申告書の作成、住民税の普通徴収設定の入力まで画面の案内どおりに進められます。確定申告サポート歴17年の運営者として、まず無料期間で操作感を確かめることをおすすめします。どれも無料期間があり、期間中の解約は自由です。
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▶ あわせて読む:扶養内で副業する収入の壁|130万・103万円の違い
▶ あわせて読む:副業フリーランスの社会保険はどうなる?会社員の疑問を解説
まとめ
- 副業の所得が年間20万円超なら確定申告が必要(「収入」ではなく「所得=収入−経費」で判断)
- 年末調整は本業の給与だけが対象。副業分・医療費控除・ふるさと納税は自分で申告する
- 住民税は確定申告書第二表で「自分で納付」を選ぶことで会社への通知を避けやすくなる(給与扱いの副業は普通徴収不可)
- 副業の種類によって所得区分(事業所得・雑所得)が異なり、節税効果も変わる
- 無申告のペナルティは本税の15〜20%(300万円超は30%)+延滞税。早めの申告が最善策
よくある質問(FAQ)
Q. 副業の所得が20万円を超えたら、何から始めればいいですか?
まず副業の収入と経費を1年分集計し、「所得=収入−経費」を計算します。20万円を超えていれば、本業の源泉徴収票とあわせて確定申告書を作成します。会計ソフトを使うと収入・経費の集計から申告書作成まで一気に進められます。
Q. 確定申告書はどこで提出すればいいですか?
e-Tax(電子申告)が最も手軽です。国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成し、そのまま送信できます。書面の場合は、住所地を管轄する税務署に郵送または持参します。
Q. 副業がアルバイト(給与)の場合も普通徴収にできますか?
原則としてできません。給与として支払われる副業は、その給与も特別徴収(天引き)の対象になるのが基本です。普通徴収を選べるのは、事業所得・雑所得・不動産所得などの場合です。
Q. 副業収入が20万円以下なら、本当に何もしなくていいですか?
所得税の確定申告は不要ですが、住民税は別です。住民税には20万円ルールがなく、原則としてすべての所得を市区町村に申告する必要があります。確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村で住民税の申告を行ってください(手続きは市区町村により異なるため確認を)。
Q. メルカリやポイ活の収入も20万円に含まれますか?
メルカリで自宅の不用品(生活用品)を売ったお金は原則として非課税で、20万円の判定には含めません。ただし、転売目的で仕入れた商品の販売や、ポイ活のうち換金性の高いポイント・現金還元などは所得になる場合があります。継続的・営利目的のものは含めて計算してください。
Q. 確定申告書はどこで入手できますか?
e-Taxを使えば、用紙を入手しなくても画面上で作成して提出できます。書面が必要な場合は、税務署の窓口で受け取るか、国税庁サイトの様式ページからダウンロード・印刷できます。
住民税の取り扱い(20万円以下の場合の申告要否・普通徴収の可否)は市区町村によって運用が異なります。延滞税・加算税の割合や申告期限などの最新情報は必ず国税庁ウェブサイトおよび各市区町村でご確認ください。
※本記事の税制情報は執筆時点(2026年6月)のものです。


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