基礎控除改正|フリーランスの税額はいくら変わる?

確定申告の基本

最終更新日:2026年6月4日

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この記事を書いた人: 元青色申告会職員として17年間、年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場で直接サポートしてきました。記帳指導・会計ソフト指導・労働保険事務・損害保険・生命保険業務を担当。

「今年の確定申告、なんか税金が少なくなってた気がする」

その感覚は正しいです。令和7年分(2025年1月〜12月の所得)から、所得税の基礎控除が大幅に引き上げられました。青色申告会の相談窓口でも「今年は還付額が多かった」と驚くお客様が続出しました。改正前と比べて最大47万円も控除額が増えたのですから、当然です。

この記事では、基礎控除の改正内容を売上別のシミュレーション付きで解説します。また、「令和9年分からは一部縮小される」という見落とされがちな注意点も整理します。


「令和7年分の確定申告で税額が下がった」その理由

基礎控除とは、すべての納税者に認められる「無条件の所得控除」です。計算のしくみは単純で、事業所得から社会保険料や各種控除を差し引いた後、さらに基礎控除を引いた残りが「課税所得」になります。

これまで基礎控除は合計所得2,400万円以下なら一律48万円でした。令和7年分からは、所得が低い人ほど大きく控除額が増える「段階制」に変わりました。

合計所得金額 改正後(令和7年分〜) 改正前 増加額
132万円以下 95万円 48万円 +47万円
132万円超〜336万円以下 88万円 48万円 +40万円
336万円超〜489万円以下 68万円 48万円 +20万円
489万円超〜655万円以下 63万円 48万円 +15万円
655万円超〜2,350万円以下 58万円 48万円 +10万円
2,350万円超〜2,400万円以下 48万円 48万円 ±0円
2,400万円超〜2,500万円以下 段階的に減少 段階的に減少

ここで言う「合計所得金額」は、事業所得(売上から経費・青色申告特別控除を差し引いた後の金額)をベースに計算します。事業以外の収入がある場合はそれも合算します。

出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」


売上別シミュレーション|実際いくら税額が変わる?

「数字で見ないとピンとこない」——窓口でもよく言われます。売上別に試算しました。

前提条件:青色申告(特別控除65万円)、社会保険料は各ケースで概算を設定。令和7年分の所得税率を適用。住民税・復興特別所得税は含みません。

項目 売上200万円 売上300万円 売上500万円 売上700万円
経費(概算) 30万円 60万円 100万円 140万円
青色特別控除 65万円(全ケース共通)
事業所得(合計所得) 105万円 175万円 335万円 495万円
社会保険料控除(概算) 40万円 50万円 60万円 75万円
基礎控除(改正後) 95万円 88万円 88万円 63万円
基礎控除(改正前) 48万円 48万円 48万円 48万円
課税所得(改正後) 0円(マイナスのため) 37万円 187万円 357万円
課税所得(改正前) 17万円 77万円 227万円 372万円
所得税の節税額(概算) 約8,500円 約2万円 約3.6万円 約3万円

※社会保険料は国民年金・国民健康保険の概算値。実際の金額は居住地・前年所得によって異なります。住民税・復興特別所得税は含みません。

ポイント:売上300万〜500万円の層が最も恩恵を受ける

上の表を見ると、売上300〜500万円あたりのフリーランスで節税効果が最大になります。事業所得が336万円以下(合計所得が336万円以下)に収まれば基礎控除88万円が適用され、改正前より最大40万円分の課税所得を減らせます。

一方、売上が多く所得が655万円を超えると、控除増は+10万円にとどまります。高所得のフリーランスほど「他の節税手段との組み合わせ」が重要です(後述)。


令和8年分(2026年)は?令和9年分からの注意点

「令和8年分も同じ控除額が使えます。ただし令和9年分から一部縮小されます。」

今(2026年5月)から令和8年分(2026年1月〜12月の所得)の節税を考えている方は、今年は現行の拡大された基礎控除が使えるので安心してください。ただし、令和9年分(2027年1月〜12月の所得)以降は段階的加算措置が変わる見込みです。

⚠️ 【令和9年分以降の変更予定】
合計所得が132万円超〜655万円以下の区間は、段階的な加算措置が見直され、基礎控除額が58万円(改正前+10万円水準)に縮小される見込みです。令和7年・8年分だけの特例的な恩恵となる可能性があります。最新の情報は国税庁ウェブサイトでご確認ください。

つまり「今のうちに節税できることを最大限やっておく」が正解です。特に所得が200万〜600万円あたりのフリーランスは、令和8年分(今年)が勝負の年です。


基礎控除改正と組み合わせると最強の節税手段

基礎控除の引き上げは「控除額が増えた」という意味なので、さらに他の所得控除と組み合わせると節税効果が倍増します。課税所得を徹底的に下げる3つの方法を紹介します。

① iDeCo・小規模企業共済で課税所得を下げる

iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛金は、全額が所得控除になります。基礎控除が増えた分と合わせて課税所得を圧縮できます。

  • iDeCo:自営業者は月6.8万円(年81.6万円)まで全額所得控除。2026年12月からは月7.5万円(年90万円)に拡大(改正確定済み)
  • 小規模企業共済:月1,000円〜7万円(年最大84万円)まで全額所得控除

両方フルで活用すると年間160万円超の所得控除が積み上がります。詳しくは→小規模企業共済とiDeCoの節税効果を徹底比較

② ふるさと納税で住民税まで同時に削る

基礎控除の引き上げで所得税が下がると、住民税の計算ベースも変わります。ふるさと納税は所得税還付と住民税控除の両方に効きます。所得控除が増えた年こそ、ふるさと納税の控除上限額の計算をし直して最大限活用するタイミングです。

フリーランスのふるさと納税|控除上限の計算方法と確定申告のやり方

③ 国民健康保険料の節税も忘れずに

国保の保険料は前年の所得をベースに計算されます。課税所得が下がると翌年の国保料も連動して下がる可能性があります。iDeCo・小規模共済で所得を下げておくと、翌年の国保料軽減にもつながります。

個人事業主の国保が高い理由と節税する5つの方法


まとめ:令和8年分(2026年)の節税は今年が勝負

  • 令和7年分から基礎控除が最大95万円に拡大(改正前48万円)
  • 恩恵が大きいのは事業所得が132万〜336万円の層(+40万円)
  • 令和9年分以降は段階的加算が縮小見込み。令和8年分(2026年)も現行水準が継続
  • iDeCo・小規模共済・ふるさと納税との組み合わせで節税効果を最大化できる

基礎控除改正の恩恵を最大化するなら、ほかの節税手段も合わせて確認しましょう。→フリーランスの節税完全ガイド2026年版もあわせてご覧ください。

基礎控除の改正は「何もしなくても控除が増える」という珍しい改正です。ただし、確定申告でしっかり所得を計算しないと恩恵を受けられません。帳簿が整っていない方は今からでも遅くありません。

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