償却資産税の申告ガイド|個人事業主がPCを買ったらやること

経費・節税

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この記事を書いた人: 確定申告サポート歴17年。年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場で直接サポートしてきました。記帳指導・会計ソフト指導・労働保険・損害保険・生命保険業務を担当。

「PCを買ったから確定申告で減価償却した。それで終わりですよね?」——青色申告会の窓口で繰り返し聞かれた質問です。実は確定申告(国税)と別に、市区町村への「償却資産税申告」という手続きがあります。

青色申告会の窓口でも、制度の存在自体を知らずに毎年申告漏れになっているケースが非常に多かった。知らなくても「払っていない」とはなりませんが、後から指摘されると延滞金が発生する可能性もあります。

この記事では、個人事業主が知っておくべき償却資産税の申告手続きを解説します。

なお、そもそも今回のようにPCなどの資産をいくらから経費にできるのか、10万円の壁の考え方を先に整理しておきたい方は、個人事業主のパソコン購入と10万円の壁の解説記事もあわせてご覧ください。

償却資産税とは

償却資産税は、固定資産税の一種です。土地・建物は別途「固定資産税(家屋)」の対象ですが、土地・建物以外の事業用有形固定資産には「償却資産税」がかかります。

市区町村(東京23区は都)が課税する地方税で、毎年1月1日時点の償却資産保有状況を1月31日までに申告します。税率は原則1.4%です。

申告が必要な資産の例

  • パソコン・サーバー・プリンター等の情報機器
  • カメラ・撮影機材・音響機器
  • 工具・器具・業務用機械
  • テナント(賃借物件)での内装工事(造作・間仕切り・床・壁等)
  • エアコン・照明等の建物附属設備(テナント内のもの)

申告が不要な資産

資産の種類 理由
自動車・二輪車 自動車税・軽自動車税の対象。償却資産税の対象外
建物(不動産登記されているもの) 固定資産税(家屋)の対象。償却資産税の対象外
取得価額10万円未満の資産 少額資産として全額即時経費。申告不要
一括償却資産(取得価額10万円以上20万円未満・3年均等) 地方税法の規定により申告対象外
リース資産(賃借している機器) リース会社(所有者)が申告する。借主は対象外

最大の落とし穴:30万円未満の少額特例

青色申告者が使える「30万円未満の少額特例」(租税特別措置法第28条の2)は、所得税の確定申告では全額即時経費にできます。しかし償却資産税の申告は別話です。

⚠️ 少額特例で全額経費にした資産も、償却資産税の申告は必要
確定申告で「30万円未満の特例で全額経費にした=終わり」ではありません。所得税(国税)と償却資産税(地方税)は別の申告です。特例を使って全額経費にした資産でも、取得価額20万円以上のものは償却資産税の申告対象になります。

各取得価額ごとの整理:

取得価額 確定申告(所得税)の処理 償却資産税の申告
10万円未満 全額即時経費(消耗品費) 不要
10万円以上20万円未満 一括償却資産(3年均等) 不要
20万円以上30万円未満(少額特例) 全額即時経費(特例) 必要!
30万円以上 法定耐用年数で減価償却 必要!

少額特例を使わずに通常の減価償却で処理する場合の耐用年数の調べ方や具体的な計算方法については、個人事業主の減価償却完全ガイドで詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。

免税点と申告の要否

課税標準額(申告した資産の評価額合計)が150万円未満の場合は非課税です。ただし、申告自体は150万円未満でも必要な市区町村がほとんどです。「非課税だから申告しなくていい」は誤りです。

申告してみて150万円未満と確認されれば税額はゼロになりますが、申告しない状態が続くと「未申告」として扱われることがあります。

内装工事(造作)は要注意

賃借している事務所・店舗での内装工事(造作・間仕切り・床工事・壁工事など)は、建物本体が他人所有でも、工事費用を負担したのが個人事業主であればその個人事業主の償却資産として申告が必要です。

「自分の建物じゃないから関係ない」と思い込んでいるケースが非常に多かった。開業時の内装工事費は特に確認が必要です。

申告の手順

  1. 1月1日時点の保有資産を確認:会計ソフトの固定資産台帳で確認できます
  2. 申告書を市区町村から取り寄せる:市区町村の税務課・資産税課から「償却資産申告書」を入手
  3. 1月31日までに提出:郵送・窓口・eLTAXのいずれか

毎年継続して申告が必要です。前年に申告した内容は翌年に引き継がれますが、新しく購入・廃棄した資産は必ず追記・削除します。

会計ソフトの固定資産台帳を活用する

freee・マネーフォワード・やよいは固定資産台帳機能があり、資産の取得年月・取得価額・耐用年数が一覧できます。この台帳を基に償却資産申告書を作成すると漏れが防げます。

どれも無料期間があります。実際に操作してみてから、自分に合う1本を選んでください。

まとめ

  • 事業用のPC・機器・内装工事は、確定申告とは別に市区町村への「償却資産申告」が必要
  • 申告期限は毎年1月31日
  • 30万円未満の少額特例で全額経費にした資産でも、20万円以上なら申告対象(最大の落とし穴)
  • 10万円以上20万円未満の一括償却資産(3年均等)は申告不要
  • 自動車・建物・リース資産は対象外
  • 課税標準額150万円未満は非課税だが申告自体は必要

「確定申告で減価償却した=手続き完了」ではありません。PCや機器を購入したら1月31日に向けて償却資産申告の準備もセットで行ってください。

税理士に頼むと年間30〜50万円かかります。会計ソフトなら月1,000円前後で確定申告まで完結します。


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