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「税金を払ったんだから経費になるはず」——確定申告の相談窓口でとても多かった誤解です。
税金の中には経費になるものとならないものがあります。間違えると「所得税・住民税を租税公課として経費に計上していた」という過少申告になり、後から修正申告が必要になることがあります。
この記事では、個人事業主が支払う税金の正しい帳簿処理を、窓口で繰り返し見てきた誤事例と一緒に解説します。
租税公課とは
租税公課は、税金(租税)と公的な負担金(公課)を合わせた勘定科目です。個人事業主が事業のために支払う税金・公的負担を帳簿に記録するときに使います。
窓口で繰り返し言っていた覚え方:
「個人の税金(所得税・住民税)はNG、事業にかかる税金(固定資産税・自動車税・個人事業税・消費税・償却資産税)はOKと覚えておけば9割は対応できます。」
経費になる税金(租税公課として計上できる)
| 税金の種類 | 注意点 |
|---|---|
| 個人事業税(都道府県税) | 8月・11月に納付。通知書が届いた年の経費になる |
| 固定資産税(事業使用分) | 自宅兼事務所・事業専用の場合。自宅居住部分との按分が必要 |
| 自動車税・軽自動車税(事業使用分) | 私用と兼用の場合は家事按分で事業使用割合分のみ |
| 印紙税 | 契約書・領収書に貼った収入印紙。全額経費 |
| 登録免許税・不動産取得税(事業用) | 事業用資産の取得に係るもの。自宅用は対象外 |
| 償却資産税(固定資産税の一種) | 事業用のPC・機械等に課される地方税。全額経費 |
| 消費税(税込経理方式の確定申告分) | 税込経理を選んでいる課税事業者のみ。税抜経理では経費不可 |
経費にならない税金
| 税金の種類 | 理由・正しい処理 |
|---|---|
| 所得税・復興特別所得税 | 個人の所得に対する税。事業の費用ではない。帳簿では「事業主貸」 |
| 住民税(所得割・均等割) | 個人の税金。帳簿では「事業主貸」。事業税と混同しないこと |
| 国民健康保険料・国民年金保険料 | 個人の社会保険。「社会保険料控除」で確定申告書に記入。帳簿は事業主貸 |
| 延滞税・加算税・罰金・過料 | 法令違反によるペナルティ。経費計上は明確にNG |
| 所得税の予定納税・消費税の中間納付 | 前払いであり経費でない。「仮払税金」として処理し確定申告時に精算 |
| 相続税・贈与税 | 個人の税金。事業の経費にはならない |
窓口で実際に多かったNG処理3パターン
① 所得税・住民税を「租税公課」で経費計上
最も多かった誤りです。「税金を払ったから経費になる」と思い、所得税・住民税の納付額を帳簿の「租税公課」に入力しているケースが毎年必ず出てきました。
正しい処理:事業口座から所得税・住民税を払った場合は「事業主貸」で処理します。経費には入れません。
② 個人事業税の計上漏れ
個人事業税は「経費になる」という認識がない方が多く、計上漏れが続いていたケースが目立ちました。
個人事業税は都道府県税で、前年の事業所得が290万円(事業主控除)を超えた場合に課税されます。8月と11月に通知・納付があります。
⚠️ 計上する年に注意
個人事業税は「確定した年」の経費になります。たとえば8月に届いた令和7年分の事業税通知書(令和6年分の所得に基づく)は、令和7年の確定申告で経費計上します。「前の年の所得に基づいているから前の年の経費では?」という混乱が多いですが、通知を受けた年・実際に納付した年の経費です。
③ 固定資産税・自動車税の全額計上(按分なし)
自宅兼事務所の場合、固定資産税全額を租税公課に入れているケースが多い。事業使用部分のみが経費です。家事按分の割合(面積等)を根拠に按分計算が必要です。
事業専用の物件・車両であれば全額計上できます。
予定納税・中間納付は「仮払い」扱い
所得税の予定納税(7月・11月)や消費税の中間納付は、確定申告前の仮払いです。経費ではありません。
帳簿での処理:
- 予定納税:(借)仮払税金 ×× / (貸)普通預金 ××
- 確定申告時:確定税額から予定納税額を差し引いて精算
予定納税を「租税公課」として経費計上してしまうと、所得が二重に少なく計算されます。税務調査では必ず確認されるポイントです。
消費税の経理方式による違い
課税事業者の消費税処理には「税込経理」と「税抜経理」の2方式があり、消費税の扱いが変わります。
| 経理方式 | 消費税の確定納付額の処理 |
|---|---|
| 税込経理方式 | 租税公課として経費計上できる |
| 税抜経理方式 | 仮受消費税と仮払消費税の差額として処理。経費にはならない |
どちらの方式かわからない場合は、会計ソフトの設定または過去の申告書で確認してください。
会計ソフトで勘定科目を正しく設定する
freee・マネーフォワード・やよいでは、税金の支払いを入力する際に勘定科目「租税公課」を選択できます。ただし所得税・住民税の支払いは「事業主貸」で入力する必要があります。会計ソフトのデフォルトに任せず、勘定科目を正しく設定することが重要です。
どれも無料期間があります。実際に操作してみてから、自分に合う1本を選んでください。
まとめ
- 経費OK:個人事業税・固定資産税(事業分)・自動車税(事業分)・印紙税・償却資産税・消費税(税込経理の場合)
- 経費NG:所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金・延滞税・罰金
- 所得税・住民税を事業口座から払っても経費ではなく「事業主貸」で処理する
- 個人事業税は通知・納付した年の経費。計上漏れが非常に多い税目
- 予定納税・消費税中間納付は前払いであり経費でない
- 固定資産税・自動車税は自宅兼用の場合は家事按分で事業分のみを計上
「税金を払った=全部租税公課でOK」ではありません。税目ごとの取り扱いをひとつひとつ確認してください。
税理士に頼むと年間30〜50万円かかります。会計ソフトなら月1,000円前後で確定申告まで完結します。


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