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「生命保険料は経費になりますよね?」——青色申告会の窓口で毎年繰り返された質問です。
答えは「経費にはなりません。ただし所得控除として確定申告で有利に使えます」。この違いを理解していない方が非常に多い。また、従業員を雇っている場合の労働保険料は経費になる——という話も知らずに損している方が多かった。
この記事では、個人事業主が払う様々な保険料の正しい税務処理を整理して解説します。
保険料の処理:4つのパターン
個人事業主が支払う保険料は、大きく4つのパターンに分かれます。
| 保険の種類 | 処理方法 | 帳簿の勘定科目 |
|---|---|---|
| 国民健康保険料・国民年金保険料 | 社会保険料控除 | 事業主貸 |
| 生命保険料・個人年金・介護医療保険 | 生命保険料控除 | 事業主貸 |
| 労働保険料(従業員がいる場合の事業主負担分) | 経費 | 法定福利費 |
| 火災保険・地震保険(事業スペース分) | 家事按分で一部経費 | 損害保険料(事業使用割合分) |
【よくある誤り】生命保険料を「経費」にしている
個人の生命保険料は、事業口座から支払っても経費にはなりません。正しくは確定申告書の「所得控除」欄に「生命保険料控除」として記入します。
窓口でよく言っていた説明:
「生命保険料は『控除』と『経費』は全然別です。経費は売上から引くもの、控除は所得から引くもの。生命保険は申告書の別のページに書くだけ。帳簿の仕訳は『事業主貸』で処理して、あとは申告書の控除欄に金額を書くだけです。」
事業口座から生命保険料を引き落としている場合:
(借)事業主貸 × × / (貸)普通預金 × ×
生命保険料控除の上限額
所得税の生命保険料控除は、2012年1月1日以降の新契約と、それ以前の旧契約で計算方法が異なります。
| 控除の種類 | 新契約(2012年以降)上限 | 旧契約(2011年以前)上限 |
|---|---|---|
| 一般の生命保険料控除 | 4万円 | 5万円 |
| 個人年金保険料控除 | 4万円 | 5万円 |
| 介護医療保険料控除(新契約のみ) | 4万円 | なし |
| 合計上限 | 12万円 | 10万円 |
⚠️ 【未確定情報】令和8年(2026年)分からの改正
税制改正により、令和8年分以後の所得税から一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に引き上げられる見込みです。最新情報は必ず国税庁ウェブサイトでご確認ください。
国民健康保険料・国民年金保険料の処理
国民健康保険料と国民年金保険料は、社会保険料控除として所得から全額控除できます(上限なし)。
ただしこれも「経費」ではありません。帳簿では「事業主貸」で処理し、確定申告書の「社会保険料控除」欄に記入します。
| 保険料の種類 | 仕訳(事業口座から支払った場合) | 確定申告での扱い |
|---|---|---|
| 国民健康保険料 | 事業主貸 / 普通預金 | 社会保険料控除(全額) |
| 国民年金保険料 | 事業主貸 / 普通預金 | 社会保険料控除(全額) |
年間支払額は12月に届く「国民健康保険料・国民年金保険料の控除証明書」や「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」で確認できます。
なお、出産や育休を機に国民健康保険料・国民年金保険料の免除を受けられる制度もあります。対象となる方は個人事業主の出産・育休と税金【2026年版】|確定申告と保険料免除手続きで手続きの流れを確認しておくと安心です。
【経費になる例外】従業員を雇っている場合の労働保険料
従業員を雇っている個人事業主が負担する労働保険料(雇用保険・労災保険)の事業主負担分は経費になります。
従業員の給与から天引きする労働者負担分は「預り金」として処理し、事業主負担分は「法定福利費」として経費計上します。
| 項目 | 処理方法 |
|---|---|
| 雇用保険料(事業主負担分) | 法定福利費として経費計上 |
| 労災保険料(全額事業主負担) | 法定福利費として経費計上 |
| 雇用保険料(労働者負担分・天引き) | 預り金(経費ではない) |
窓口でも「従業員を雇っているのに労働保険料の経費計上を知らずに損していた」というケースが繰り返し見られました。労働保険に加入したら、必ず帳簿処理を確認してください。
火災保険・地震保険の処理(自宅兼事務所の場合)
自宅を事務所兼用で使っている場合、火災保険・地震保険の保険料は事業使用割合(家事按分)で分けることができます。
- 事業使用部分の保険料 → 損害保険料として経費計上
- プライベート使用部分の保険料 → 事業主貸
地震保険料は確定申告で「地震保険料控除」(最大5万円)の対象にもなります。
整理:「控除」と「経費」の違い
| 経費 | 所得控除 | |
|---|---|---|
| 何から引く? | 売上(収入)から引く | 所得(利益)から引く |
| 申告書のどこ? | 青色申告決算書の経費欄 | 確定申告書第一表の所得控除欄 |
| 保険料の例 | 労働保険料(法定福利費)、火災保険(按分部分) | 生命保険料控除、社会保険料控除(国保・国民年金) |
生命保険料・国保・国民年金を帳簿で「経費」に計上している場合は、早めに修正が必要です。
会計ソフトなら申告書への転記も自動
freee・マネーフォワード・やよいは、社会保険料控除・生命保険料控除の入力画面が申告書と連動しており、控除証明書の金額を入力するだけで確定申告書に自動反映します。手で計算・転記する手間がありません。
どれも無料期間があります。実際に操作してみてから、自分に合う1本を選んでください。
まとめ
- 生命保険料・国保・国民年金は「経費」でなく「所得控除(控除証明書で申告)」
- 帳簿での仕訳は「事業主貸」で処理する
- 従業員を雇っている場合の労働保険料(事業主負担分)は法定福利費として経費計上できる
- 自宅兼事務所の火災保険は家事按分で事業使用割合分を経費化できる
- 「生命保険料 = 経費」という誤解は過少申告につながるため要注意
保険料の扱いは「経費」か「控除」かで申告書の記入場所が全く異なります。会計ソフトを使いながら確認してみてください。
税理士に頼むと年間30〜50万円かかります。会計ソフトなら月1,000円前後で確定申告まで完結します。


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