青色申告特別控除2027年改正|売上1000万超は控除ゼロのケースも

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⚠️ 【未確定情報】
本記事の内容は令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)に基づいています。2027年分(令和9年分)以後の所得税から適用される予定ですが、国会審議・施行令等により変更される可能性があります。最新情報は必ず国税庁ウェブサイトでご確認ください。

この記事を書いた人: 元青色申告会職員として17年間、年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場で直接サポートしてきました。

「青色申告しているから大丈夫」——そう思っている方に、今すぐ確認してほしい話があります。

2027年分(令和9年分)の確定申告から、青色申告特別控除の仕組みが大きく変わります。今まで通りの方法を続けていると、控除額がガクンと下がって実質的な増税になるケースが生まれます。

特に影響が大きいのは次の2パターンです。

  • 複式簿記をつけているのに、紙で申告書を提出している人→ 控除が55万円から10万円に激減
  • 簡易簿記で、前々年の売上が1,000万円を超えている人→ 控除がゼロ円に

青色申告会の窓口で17年間、毎年こういった「知らなかったせいで損した」ケースを見てきました。この改正も、知っているかどうかで税額に大きな差がつきます。具体的な数字でわかりやすく解説します。

2027年分から青色申告特別控除が大きく変わる

まず改正前後を表で確認しましょう。

現行制度(2026年分まで)

帳簿の種類 提出方法 控除額
複式簿記(正規の簿記) e-Tax または 優良な電子帳簿保存 65万円
複式簿記(正規の簿記) 紙(窓口・郵送) 55万円
簡易簿記 問わない 10万円

改正後(2027年分から)

帳簿の種類 提出方法 売上要件 控除額
複式簿記+優良な電子帳簿 e-Tax 問わない 75万円(新設)
複式簿記 e-Tax 問わない 65万円(変化なし)
複式簿記 紙(窓口・郵送) 問わない 10万円(55万円から激減)
簡易簿記 問わない 前々年1,000万円以下 10万円(変化なし)
簡易簿記 問わない 前々年1,000万円超 0円(廃止)

赤字の2行が今回の改正で特に注意が必要なポイントです。

控除額が決まる3つの条件

改正後の控除額は、①帳簿の種類 ②提出方法 ③売上高(簡易簿記の場合のみ)の3つで決まります。

条件①:帳簿の種類(複式 or 簡易)

複式簿記(正規の簿記)とは、すべての取引を借方・貸方に分けて記録する方法です。freee・マネーフォワード・やよいなどの会計ソフトを使っていれば、自動的に複式簿記で記録されています。

簡易簿記とは、収入と支出だけを記録するシンプルな方法です。エクセルや手書きで収支を管理している方の多くはこちらに該当します。

📝 【現場での経験】
青色申告会の窓口で繰り返し見てきたのが「65万円控除で申告しているが、実は複式簿記の要件を満たしていない」ケースです。会計ソフトを使っていても、残高が合っていない、売掛金・買掛金を使わず現金主義で入力している、といった状態では複式簿記とは認められません。帳簿の「形式」だけでなく「中身」が問われます。

条件②:提出方法(e-Tax or 紙)

e-Taxとは、インターネットで確定申告書を提出する方法です。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、自宅から無料で手続きできます。

紙提出とは、税務署の窓口に持参するか、郵送する方法です。

⚠️ 紙提出のペナルティが大きくなります
改正前は「複式簿記+紙提出」で55万円控除でした。改正後は10万円に激減します。e-Taxに切り替えれば65万円が維持できるため、紙提出を続ける理由がほぼなくなります

条件③:前々年の売上高(簡易簿記の場合のみ)

簡易簿記を使っている方に限り、前々年の売上高が1,000万円を超えるかどうかで控除額が変わります。

「前々年」とは、申告する年から2年前のことです。消費税の課税・免税の判定(基準期間)と同じ考え方です。

申告する年 判定に使う年の売上
2027年(令和9年)分 2025年(令和7年)分の売上
2028年(令和10年)分 2026年(令和8年)分の売上

改正は2027年分から適用されるため、2025年の売上が1,000万円を超えていた方は、2027年の申告で即・控除ゼロになります

売上1,000万円の事業者でシミュレーション|最大75万円の差

売上1,000万円・必要経費300万円(所得700万円)の個人事業主を例に、帳簿・提出方法の違いで控除後の課税所得がどう変わるか見てみましょう。

パターン 帳簿 提出 控除額 課税所得
最良 複式+優良電子帳簿 e-Tax 75万円 625万円
標準 複式簿記 e-Tax 65万円 635万円
要注意 複式簿記 紙提出 10万円 690万円
危険 簡易簿記 0円 700万円

「最良」と「危険」の差は課税所得で75万円。所得税率23%の方なら税額で約17万円の差になります(住民税を含めると約23万円)。

しかも「要注意」「危険」のパターンは、今まで適用されていた控除が縮小・廃止される実質的な増税です。何もしなければ2027年から突然税額が増えることになります。

売上1,000万円の判定基準|「前々年」「個別判定」「事業的規模」の3つのポイント

ポイント①:前々年の売上で判定する

「前々年の売上が1,000万円超かどうか」が判定基準です。今年の売上ではなく、2年前の数字を使います。

これは消費税の課税事業者の判定(基準期間)と同じ仕組みです。インボイス対応をしてきた方には馴染みやすい考え方です。

改正が2027年分から始まるため、最初に判定に使われるのは2025年(今年から2年前)の売上です。2025年の売上がすでに1,000万円を超えていた方は、早めの対策が必要です。

ポイント②:事業所得と不動産所得は個別に判定(合算しない)

⚠️ 【施行令確定前】
以下は国税庁が令和8年4月に公表した案内資料に基づく解説です。法令の施行後は国税庁ウェブサイトで最終確認をお勧めします。

事業と不動産賃貸を両方やっている方がよく気にするのが、「2つの収入を合算して1,000万円を超えたらアウト?」という点です。

国税庁の案内資料では「前々年分の不動産所得又は事業所得に係る収入金額が1,000万円を超える者を除外する」という表記になっています。この「又は」(or)は合算を意味するのではなく、各所得ごとに個別で判定するという意味です。

つまり、事業収入600万円+不動産収入500万円=合計1,100万円であっても、どちらも単独では1,000万円以下なので控除ゼロにはなりません。

ケース 事業収入(前々年) 不動産収入(前々年) 判定
Aさん 1,200万円 なし 除外(控除0円)
Bさん 600万円 500万円 除外されない
合計1,100万円でも個別では1,000万円以下
Cさん(事業的規模) なし 1,200万円 除外(控除0円)

ポイント③:不動産所得は「事業的規模」だけが対象(業務的規模は適用外)

これも見落としやすい重要なポイントです。国税庁の案内資料には次のように脚注が付いています。

不動産所得に関しては、収入金額が1,000万円超の場合、事業的規模の方のみ控除対象外となり、業務的規模の方は改正前と同様に最大10万円の控除を受けることができます。
(国税庁案内資料「簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ」R8.4より)

事業的規模とは、マンション10室以上または5棟以上など、不動産賃貸を本格的な事業として行っている規模のことです。業務的規模とは、それに満たない小規模な賃貸経営(ワンルームを数部屋など)を指します。

不動産賃貸の規模 前々年の不動産収入 改正後の控除(簡易簿記)
事業的規模(10室以上・5棟以上) 1,000万円以下 10万円(変化なし)
事業的規模(10室以上・5棟以上) 1,000万円超 0円(控除廃止)
業務的規模(10室未満・5棟未満) 1,000万円超でも 10万円(影響なし)

💡 業務的規模の大家さんへ補足
業務的規模の不動産所得がある方は、複式簿記に移行しても控除額は最大10万円です。65万円・75万円の控除は、事業所得か事業的規模の不動産所得がある方が対象です。

今すぐやること|e-Tax切り替えが最優先

改正への対応として、最も効果的かつ費用ゼロでできる対策がe-Taxへの切り替えです。

現在「複式簿記+紙提出」の方は、e-Taxに切り替えるだけで10万円→65万円に戻ります。

e-Tax切り替えに必要なもの

  • マイナンバーカード(取得済みであれば追加費用なし)
  • スマートフォン(マイナポータルアプリをインストール)
  • 会計ソフト(freee・マネーフォワード・やよいはe-Tax連携に対応)

e-Taxの始め方については、こちらの記事で手順を詳しく解説しています。

e-Taxの始め方【2026年版】|スマホとマイナンバーカードで確定申告

簡易簿記の方は複式簿記への移行を検討

前々年の売上が1,000万円前後の方は、簡易簿記から複式簿記への移行も視野に入れてください。会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても自動的に複式簿記の帳簿が作成されます。

青色申告会の窓口では「会計ソフトを入れたが使い方がわからない」という相談を毎年たくさん受けてきました。無料体験期間がある今のうちに、実際に使って操作感を確かめておくことをおすすめします。

どのソフトも無料期間があります。実際に使ってみてから、自分に合う1本を選んでください。

e-Tax対応の会計ソフト(無料期間あり)

▶ 30日間無料で試す(freee会計)
複式簿記を自動化。e-Taxにも対応。青色申告65万円控除の要件を満たせる

▶ 1か月無料で始める(マネーフォワードクラウド確定申告)
銀行口座・カードと連携して自動記帳。e-Tax申告にも対応

▶ 初年度無料で使ってみる(やよいの青色申告)
操作がシンプル。白色→青色への乗り換えにも対応

※各社の無料期間・サービス内容は変更になる場合があります。申込前に公式サイトでご確認ください。

まとめ|2027年分からの青色申告特別控除 チェックリスト

令和8年度税制改正(2027年分から適用予定)のポイントを整理します。

あなたの状況 改正後の控除額 対応策
複式簿記+e-Tax 65万円(変化なし) 現状維持でOK
複式簿記+優良電子帳簿+e-Tax 75万円(アップ) 優良電子帳簿の設定を確認
複式簿記+紙提出 10万円(55万円から激減) e-Taxへ切り替える
簡易簿記+前々年売上1,000万円以下 10万円(変化なし) 売上の増加に注意
簡易簿記+前々年売上1,000万円超 0円(廃止) 複式簿記+e-Taxへ移行

青色申告特別控除の改正全体については、こちらの記事もご参照ください。

青色申告控除が75万円に!2026年改正で何が変わる?

今すぐできること
① 自分が「複式簿記か簡易簿記か」を確認する
② 前々年(2年前)の売上が1,000万円を超えているか確認する
③ 紙提出の場合はe-Taxへの切り替えを準備する
④ 施行令が確定したら国税庁サイトで詳細を再確認する

※本記事は令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)に基づいています。今後の国会審議・施行令の公布により内容が変更される可能性があります。

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