個人事業税とは?計算方法と対象業種を解説

経費・節税

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この記事を書いた人: 元青色申告会職員として17年間、年間500人以上の個人事業主・フリーランスの確定申告を現場で直接サポートしてきました。記帳指導・会計ソフト指導・労働保険事務・損害保険・生命保険業務を担当。

確定申告が終わったのに、また税金の通知が届いた

3月に確定申告を終えて、やれやれと一息ついていたら、8月に見慣れない封筒が届いた。開けると「個人事業税 納税通知書」。

「えっ、確定申告で払ったのにまた税金?」「これって何の税金?」——青色申告会の窓口では、毎年夏になるとこういった相談が増えました。驚いて相談に来る方のほとんどが、個人事業税の存在自体を知らなかったのです。

個人事業税は、確定申告とは別に都道府県から請求される税金です。知らずにいると毎年驚くことになりますし、翌年の経費として計上できるのに見逃している方も少なくありません。

この記事では、個人事業税の仕組み・対象業種・計算方法・納付時期を、現場で見てきた実例とともにわかりやすく解説します。

個人事業税とは:所得税・住民税とは別の「都道府県税」

個人事業税は、都道府県が課税する地方税です。所得税(国税)や住民税(市区町村税)とは別の税金で、法律で定められた70の業種で事業を営む個人事業主に課税されます。

確定申告をすると、申告データをもとに都道府県が個人事業税を計算し、納税通知書を送付してくれます。つまり、個人事業税のために別途申告する必要はありません。確定申告さえしていれば、自動的に計算されます。

所得税・住民税・個人事業税の違い

税金の種類 課税主体 申告方法 納付時期
所得税 国(税務署) 確定申告 3月15日まで
住民税 市区町村 確定申告で自動計算 6月〜翌年3月(4回)
個人事業税 都道府県 確定申告で自動計算 8月・11月(2回)

個人事業税の対象業種:自分が当てはまるか確認しよう

個人事業税が課税されるのは、地方税法で定められた70の法定業種のみです。業種によって税率も異なります。

業種と税率の一覧

種別 税率 主な業種
第1種事業(37業種) 5% 物品販売業・飲食店業・製造業・運送業・請負業・広告業・不動産売買業など
第2種事業(3業種) 4% 畜産業・水産業・薪炭製造業
第3種事業(30業種) 5%(一部3%) デザイン業・コンサルタント業・理容業・美容業・クリーニング業・税理士業など。あん摩・マッサージ等と装蹄師業のみ3%

課税されない業種(法定業種に含まれないもの)

70の法定業種に含まれない事業は、個人事業税が課税されません。代表的なものとして、著述業・画業(イラストレーターなどの純粋な制作業)などが該当します。

迷いやすい業種:ITエンジニア・Webデザイナーは?

窓口でよく聞かれたのがこの質問です。

  • Webデザイナー・グラフィックデザイナー:第3種「デザイン業」(税率5%)に該当する可能性が高いです
  • ITエンジニア・プログラマー:事業の実態によって異なります。請負契約(成果物を納品する形)なら第1種「請負業」に該当する可能性がありますが、準委任契約(役務提供型)では法定業種に含まれないケースもあります

⚠️ ITエンジニア・プログラマーの方へ
自分の事業が課税対象かどうかは、契約形態や事業の実態によって異なります。判断に迷う場合は、各都道府県の税事務所に直接確認することをお勧めします。

個人事業税の計算方法:290万円の事業主控除がポイント

個人事業税の計算式はシンプルです。

(事業所得 − 各種控除 − 事業主控除290万円)× 税率 = 個人事業税

売上290万円以下の方は個人事業税がかかりません。事業主控除290万円がある分、小規模な事業者への配慮があります。

計算シミュレーション(売上500万円・経費100万円の場合)

フリーランスのデザイナー(第3種・税率5%)の例で計算します。

  • 事業所得:500万円 − 100万円 = 400万円
  • 事業主控除:290万円
  • 課税対象額:400万円 − 290万円 = 110万円
  • 個人事業税:110万円 × 5% = 55,000円

この55,000円が年2回(8月と11月)に分けて請求されます。

※青色申告特別控除(65万円または75万円)は、個人事業税の計算では控除されません。所得税の計算と混同しやすいポイントです。

いつ・どうやって払う?納付の流れ

個人事業税の納付は年2回です。確定申告をしていれば、都道府県から自動的に通知が届きます。

納付スケジュール

  • 第1期:8月31日まで
  • 第2期:11月30日まで
  • 年税額が1万円以下の場合は8月に一括納付

納付方法

金融機関・コンビニ・Pay-easy(ペイジー)・クレジットカードなど複数の方法で支払えます。納税通知書に記載されたQRコードからスマホ決済も可能な都道府県が増えています。

個人事業税は翌年の経費になる:知らないと損

窓口で「知らなかった」という声が多かったのがこのポイントです。

支払った個人事業税は、翌年の確定申告で「租税公課」として経費に計上できます。

たとえば2025年(令和7年)8月・11月に支払った個人事業税は、2025年分の確定申告(2026年3月提出)で経費として差し引くことができます。

忘れずに帳簿に計上しましょう。freee・マネーフォワードクラウド・やよいの青色申告オンラインなどの会計ソフトを使っていれば、租税公課の入力欄に金額を入れるだけです。

📊 確定申告に使える会計ソフト比較

ソフト名 特徴 向いている人
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やよいの青色申告オンライン 老舗で安定・サポート充実 安定性重視の個人事業主

また、8月・11月に個人事業税の支払いが来ることを見越して、あらかじめ資金を確保しておくことも重要です。「突然来た」と慌てないよう、毎月少額を積み立てておくと安心です。

節税の全体像を把握したい方は、フリーランスの節税完全ガイド2026年版もあわせてご覧ください。

まとめ:個人事業税は「払って・経費にする」の2ステップ

  • 個人事業税は都道府県が課税する地方税。確定申告で自動計算され、8月・11月に通知が届く
  • 事業主控除290万円があるため、所得が290万円以下なら課税なし
  • 支払った個人事業税は翌年の「租税公課」として経費に計上できる

「確定申告が終わったから安心」ではなく、8月の通知を見越して資金を準備しておくことが、安定した事業運営の第一歩です。

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