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「8%から1%になったら、帳簿の処理はどうなるんですか?」
税率の話題が出るたびに、青色申告会の窓口でもこの質問を受けてきました。2026年6月時点で、政府は2027年4月から食料品の消費税を1%に引き下げる方向で調整しています。まだ確定ではありませんが、インボイス登録済みの課税事業者なら今から把握しておく必要があります。
「改正が決まってから考えよう」では対応が遅れます。この記事では、帳簿処理・消費税申告への影響・2029年の「8%戻し」まで、実務目線でまとめます。
現在の軽減税率をおさらい
現行の消費税区分は以下のとおりです。
| 区分 | 税率 | 主な例 |
|---|---|---|
| 食料品(テイクアウト含む) | 8% | スーパーの食材・コンビニのお弁当など |
| 外食(イートイン) | 10% | レストラン・カフェでの飲食 |
| 酒類 | 10% | ビール・ワインなど |
| その他(一般商品・サービス) | 10% | 電化製品・衣類・交通費など |
外食と酒類は軽減税率の対象外で、現在も標準税率10%が適用されています(国税庁・軽減税率Q&A)。この区分は、1%減税が実現しても変わりません。
食品1%減税が検討されている背景
⚠️ 【未確定情報】
本セクションは2026年6月時点の報道・政府方針に基づく内容です。高市首相が6月下旬に最終判断を行う予定とされており、秋の臨時国会に関連法案が提出される見通しです。実施の有無・具体的内容は今後変更される可能性があります。最新情報は必ず国税庁ウェブサイトおよび政府の公式発表でご確認ください。
2026年6月2日、朝日新聞・時事通信が「政府は2027年4月から食料品の消費税を8%から1%へ引き下げる方向で調整している」と報道しました。財源規模は年4兆円超とされています。
もともと自民党のJ-ファイル2026(2026年1月)では食料品の消費税ゼロを打ち出していましたが、「0%にするとレジシステムの改修に最大1年かかる」という業界側の懸念を受け、「1%」へ変更されたとされています。1%であればレジ改修を約6か月に短縮できるという試算が背景にあります。
また、2年間の時限措置として2029年4月に8%へ戻す方針も報じられています。物価高対策としての緊急措置という位置付けで、恒久的な引き下げではありません。
実現したら何が変わるか(全業種共通)
1%減税が実現したとき、課税事業者に直接関係するのは大きく3点です。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 食料品の税率変更 | 8% → 1%(外食・酒類は10%のまま) |
| インボイスの記載変更 | 適用税率・消費税額を1%で記載するよう修正が必要 |
| 会計ソフトの税率設定 | freee・マネーフォワード等の税率マスタを1%に更新 |
インボイス制度では、適用税率ごとに消費税額を記載することが義務付けられています。現在は「8%」と「10%」の2区分ですが、1%が加わると3区分(1%・8%〈酒類等〉・10%)になります。取引先への請求書・領収書の様式も見直すことになります。
インボイス制度の基本については以下の記事もご参照ください。
→ インボイス制度とは?フリーランスが今すぐやること
免税事業者の方はそもそも申告不要なので直接の影響はありませんが、「課税か免税か、どちらが得か」を今一度考えたい方はこちら。
→ フリーランスの消費税 免税と課税どっちが得?
食品1%減税で帳簿付けはこう変わる
具体的に、どんな場面で変化が出るか見ていきます。
①接待交際費の計上
クライアントとの食事代を経費に計上する際、現在は「イートインは10%・テイクアウトは8%」で区分しています。1%減税後は「イートインは10%・テイクアウトは1%」となり、その差が9ポイントに拡大します。
帳簿の記載例(テイクアウトの弁当代3,000円を支払った場合):
| 勘定科目 | 現行(税率8%) | 1%減税後 |
|---|---|---|
| 接待交際費 | 3,240円 (本体3,000円+税240円) |
3,030円 (本体3,000円+税30円) |
会計ソフトを使っているなら、「税率選択」を1%に変えるだけです。ただし受け取った領収書に1%の税率が明記されているかを必ず確認してください。インボイスとして認められるためには、発行者側の記載が正しくなければなりません。
②業種別の例(小売業・飲食店)
小売業:食料品の仕入・売上ともに1%に変わります。帳簿の区分処理は現行の8%から1%に変更するだけで、作業の流れはほぼ同じです。
飲食店:仕入れ(食材)は1%になる一方、売上は「イートインは10%・テイクアウトは1%」の混在が続きます。現行(仕入8%・イートイン10%・テイクアウト8%)よりも税率差が広がるため、レジや会計ソフトでの区分管理は、今より手間がかかります。
消費税申告への影響
申告方式によって影響の出かたが変わります。詳しくはこちら。
→ 消費税課税事業者の落とし穴|簡易課税と建物売却
| 申告方式 | 変更内容 |
|---|---|
| 一般課税(本則課税) | 仕入税額控除の計算に1%分が加わる。売上・仕入を1%・8%(酒類等)・10%の3区分で集計する必要あり |
| 簡易課税 | みなし仕入率はそのまま適用(小売業80%・飲食業60%・サービス業50%)。ただし売上を1%・10%に区分して集計する必要あり |
| 3割特例 (令和9〜10年分・個人事業者のみ) |
控除割合(30%)はそのままだが、売上税額の計算基礎が変わるため納税額が変動する場合あり |
簡易課税のみなし仕入率は変わりません(国税庁タックスアンサーNo.6505)。ただし、食料品テイクアウトの売上比率が高い小売・飲食業では、売上税額がかなり変わります。申告前に一度、試算しておくことをおすすめします。
2年後(2029年4月)に8%に戻るときの対応
1%減税は2027年4月〜2029年3月末の2年間限定とされています。つまり2029年4月、また8%に戻します。2027年にやったことを今度は逆方向でもう一度やることになります。
→ 2割特例は今年が最後!3割特例と2027年分の準備
- インボイスの税率表示を1%→8%に戻す(取引先への通知も必要)
- 会計ソフトの税率マスタを再設定
- 帳簿の区分管理を更新(食料品テイクアウトを再び8%に)
「2年後にまた戻すの?」と思う方も多いと思います。スプレッドシートや手書き帳簿で管理している場合、この切り替えを2回やることになります。クラウド会計ソフトであれば税率マスタの変更だけで済むことが多いので、これを機に移行を検討してみるのも手です。
消費税1%減税の前に、今からできる準備
確定を待ってから動き始めると、対応が施行直前に集中します。今のうちにやっておけることは以下の4点です。
- 一次資料の定期チェック:国税庁(nta.go.jp)・財務省(mof.go.jp)の発表を定期的に確認する
- 会計ソフトのアップデート確認:freee・マネーフォワード・やよいの各社は税率変更に合わせた対応を予定している可能性が高い。リリースノートを確認する
- レジ・請求書ソフトの対応状況確認:POSシステムやインボイス発行ツールのベンダーに問い合わせておく
- 顧問税理士への相談:簡易課税か一般課税かによって影響が異なるため、申告方式の見直しも含めて早めに相談する
特にレジシステムの改修は数か月かかることがあります。「確定してから考えよう」で気づいたら1か月前——というのは、青色申告会でも毎回見てきたパターンです。
まとめ:食品1%減税、課税事業者が今から把握しておくこと
- 外食・酒類は対象外:食料品(テイクアウト含む)が1%になっても、イートイン・酒類は10%のまま。区分管理は引き続き必要
- インボイスと会計ソフトの設定変更が必要:適用税率が1%に変わるため、請求書・領収書の記載と会計ソフトの税率マスタを更新する
- 2029年4月に8%へ戻るときも同じ対応が必要:2年間の時限措置のため、切り替えを2回やることになる。クラウド会計ソフトなら設定変更だけで済む
- 今のうちに会計ソフトとレジの対応状況を確認する:レジシステムの改修は数か月かかる場合がある。確定を待ってから動き始めると施行直前に集中する
青色申告会で17年間働いて感じたのは、「税率改正のたびに慌てる方」と「すぐ対応できる方」の違いは、記帳環境だけで決まるということです。今回の件を機に、帳簿の仕組みを整えておくことをおすすめします。
どれも無料期間があります。実際に操作してみてから、自分に合う1本を選んでください。
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消費税の課税事業者になったばかりの方は、フリーランスの消費税 免税と課税どっちが得?もあわせてご覧ください。


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